【11月20日 AFP】メキシコの国家人権委員会(National Human Rights Commission)は19日に発表した年次報告で、同国の刑務所全般で暴力が多発しており、また刑務所の大半を受刑者が仕切っていると警告した。

 同委員会によると、2012年、同国にある受刑者数の多い101の刑務所のうち65か所が受刑者の支配下にあり、そうした刑務所の割合は前年から4.3%増加した。また刑務所内で起きた暴動、乱闘、脱獄、殺人などの件数も昨年増え、発生した暴力沙汰は73件、154人が死亡、103人が負傷した。また261人が脱獄した。

 49の刑務所には、受刑者たちの「特権区域」があり、禁止薬物や禁止物質の持ち込みや使用、売春などが野放しになっているという。

 また少なくとも52の刑務所が過密状態だった。委員会が昨年訪問した刑務所には、全受刑者23万9089人の8割が収容されているが、同国の刑務所の本来の収容定員は19万4000人とされている。

 メキシコでは前週も、北東部タマウリパス(Tamaulipas)州の刑務所で受刑者6人が殺害され、その数日後には同じ刑務所から7人が脱獄している。

 また過去最大規模の脱獄としては、北部コアウイラ(Coahuila)州の米国境に近い町ピエドラス・ネグラス(Piedras Negras)で受刑者132人が脱獄した例がある。(c)AFP