【11月14日 AFP】インドのゴミ捨て場で拾われた子犬が、犬としては初めてとみられる世界最高峰エベレスト(Everest)のベースキャンプ到達に成功した。飼い主で元プロゴルファーのジョアン・レフソン(Joanne Lefson)さんが13日、AFPに語った。

 レフソンさんは今年9月、インドの山岳地帯にある町レー(Leh)で拾った生後11か月の「ルピー(Rupee)」を、標高5364メートルのベースキャンプへ連れて行くことを決心した。捨て犬の問題に光を当て、里親活動を推進するため、ネパールのヒマラヤ地方の村ルクラ(Lukla)を10月14日に出発し、13日後にベースキャンプに到達した。

 レフソンさんはソーシャルネットワークのフェイスブック(Facebook)で、この旅を「犬類にとって偉大な飛躍」と表現した。「ルピーを本当に誇りに思う。(途中の)数日間は私が抱いて運ぶことになると思ったけど、逆に先頭に立って私を引っ張ってくれた」とコメントしている。

 拾われた当初は脱水状態がひどく、死に瀕していたというルピーだが、レフソンさんの介護と高タンパク質の食事が1か月間続けられた結果、その体は大きく成長した。ルピーは獣医師の健康診断を受けた後、エベレストのベースキャンプへと向け出発した。

 右耳の一部が欠け、わずか数週間前には瀕死の状態だったにもかかわらず、ルピーは標高の高い場所にも問題なく慣れ、初めての雪を楽しんだ。「雪にとてもはしゃいでいました。雪を食べたり、中で遊んだり。もし私が許せば、雪の中で眠りさえしたでしょうね」とレフソンさんは当時の様子を振り返った。

 フェイスブックに投稿された写真には、ネパールの景色や音を楽しむ様子や、カトマンズ(Kathmandu)でヒンズー教の僧に抱かれたり、ヒマラヤの町ナムチェ・バザール(Namche Bazaar)で子どもたちと戯れたりするルピーの姿が捉えられていた。

 レフソンさんは「この旅の成功によって、人々が動物、とくに捨てられた動物たちにもっと優しく接してくれることを期待します。どんな命でも大切だということに、私たちは気付く必要があります」と語る。

 レフソンさんは現在、出身地の南アフリカでルピーと暮らしている。ルピーはたっぷりと寝て、旅の疲れを癒やしているのだという。

 レフソンさんは来週、一緒に世界を旅した前の飼い犬オスカー(Oscar)に捧げる著作を発売する予定だ。(c)AFP