【11月12日 AFP】温室効果ガスの排出量削減に向け、2015年に合意を目指す新たな枠組みについて話し合う19回目の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP19)が11日、ポーランドのワルシャワ(Warsaw)で開幕した。閣僚級会合も含め、22日まで11日間の日程で行われる。

 国連気候変動枠組み条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)のクリスティアーナ・フィゲレス(Christiana Figueres)事務局長は、フィリピンを直撃し、甚大な被害をもたらした観測史上最大級とされる台風30号(アジア名:ハイエン、Haiyan)に触れ、数々の「非常に厳しい現実」の重圧の下で会議が開催されていることを指摘。各国代表に議論を進展させるよう努力を呼び掛けた。

 台風30号による死者の数については1万人を超える恐れもある。会議に参加したフィリピン代表のナデレフ・サニョ(Naderev Sano)氏も、不明家族の消息判明を不安の中で待っている1人だ。同氏は他国の代表を前に、「自国で食べ物を見つけるにも苦難を強いられている国民と、これまで3日間何も食べていない私の兄弟に心を合わせるため、自主的に断食を始める」と涙ながらに話し、会議の開催中に「意味のある成果がみられない限り食事は取らない」と宣言した。同氏の発言には、気候変動対策として開発途上国に資金提供する「グリーン気候基金(Green Climate Fund)」への募金を促す意味合いも込められているとみられる。この決意は拍手喝采で迎えられた。

 国連は、地球の平均気温の上昇について、産業革命以前の水準から2度未満に抑えるとの目標を設定している。この範囲内であれば、気候変動による最悪の影響を免れることができると科学者らはみているためだ。各国は、今日のエネルギー供給の中心となっている化石燃料の燃焼によって発生するガスの排出量を制限し、この目標を達成したい考えだ。目標の達成には、よりクリーンで効率の良いエネルギーに切り替える必要があるが、これには多額のコストを必要とする。

 先週、国連環境計画(United Nations Environment ProgrammeUNEP)が、この「2度未満」という目標達成について、その可能性が「急速に低下している」と警告。さらに世界気象機関(World Meteorological OrganizationWMO)も最近、大気中の温室効果ガス濃度が2012年に過去最高を更新したと発表したばかりだ。(c)AFP/Mary SIBIERSKI