【11月7日 AFP】デンマークの警察当局は6日、ハロウィーン翌日にあたる今月1日に女性から受けた通報を、当初は真剣に受け止めていなかったことについて謝罪した。

 首都コペンハーゲン(Copenhagen)から北西に30キロほどのヒレレズ(Hilleroed)で、Pernille Sundwallさん(19)が友人2人とバーに向かう途中、駅の外に不審な人影があるのに気付いた。

 6日にAFP の取材に応じたPernilleさんはこう語った。「200メートルほど先に、フェンスにもたれて座っている人の背中が見えました。とても不自然な姿勢でした。近づいて大丈夫かと尋ねて前に回ってみると、首にひもが巻き付いていました。首をつって自殺していたんです」

 急いで警察に通報したところ、電話に出た男性職員は「ハロウィーンの人形ではないか」と言ったという。「ハロウィーンは昨日だったでしょう」と反論すると、職員は確認のため触るように指示した。

 Pernilleさんが「すぐ目の前に立っているけれど、怖くてとても触れません」と言うと、職員は「ただの人形だから、そのまま遊びに行きなさい」と言った。そこで3人は勇気を振り絞って男性の腕を持ち上げ、唇に触った。男性の口から唾液が流れ出し、目はどんよりとしていたという。「友人たちはパニックになって大泣きしました。でも立ち止まってくれる人は一人もいませんでした」

 さらに何度も電話を繰り返し、若者の暴力や反社会的行動への対策にあたっている団体Natteravneneのボランティア2人が警察に2回通報すると、ようやく警官がやってきた。

 同地区を管轄する警察当局の幹部はAFPの取材に対し、デンマークではハロウィーンの時期にいたずらが急増するため通報内容の判断に影響が出たと釈明し、警察は女性3人に謝罪するとともに、カウンセリングを受けられるよう手配することも申し出たと明らかにした。

 この警察幹部によると男性の死亡に事件性はなく、遺族の感情に配慮して、亡くなった男性に関する詳しい情報は公表しない方針。(c)AFP