【11月6日 AFP】米国防総省と米中央情報局(CIA)が運用するテロ容疑者の収容施設で、被収容者の健康状態を監視する職務に就く医師や看護師らが、被収容者の虐待に加担していたとする独立機関の報告書が4日、発表された。

 医療従事者のあり方について研究や提言を行う「専門家としての医療研究所(Institute on Medicine as a ProfessionIMAP)」は2年間に及んだ調査の報告書の中で、国防総省とCIAはテロ容疑者収容施設で働く医療従事者らに対し「被収容者に深刻な危害を及ぼす方法で、情報収集や治安活動に協力するよう要求した」と述べた。

 報告書によると、キューバにあるグアンタナモ(Guantanamo)米海軍基地内やアフガニスタンにある米国の収容施設、CIAの秘密拘束施設などの医療従事者らは、被収容者に対する「拷問や、残酷で非人道的で下劣な処置」の計画、実現に協力し、参加した。そうした協力は、2001年9月11日の米同時多発テロ後に始まったという。

 報告書の共同執筆者で米コロンビア大(Columbia University)医学部名誉教授のジェラルド・トムソン(Gerald Thomson)氏は「国家安全保障の名の下で、軍が(医の倫理綱領の宣誓を)制し、医師たちは軍の手先とされ、医療の倫理と実践に反する行為を犯したのは明白」だと批判している。医の倫理綱領とは、医療従事者がその職務遂行に当たって誓う職業倫理を指す。

 今回20人以上の軍、倫理、医療、厚生、法務の専門家グループがまとめた報告書は、米上院情報特別委員会に対し、収容施設での医療行為について包括的な調査を行うよう求めている。(c)AFP/Chantal VALERY