【11月4日 AFP】ブラジルの裁判所は10月30日、環境への影響があるとして中止が命じられたばかりのアマゾン川流域のダム建設計画について、再開を命じた。ダム建設プロジェクトの企業コンソーシアム(企業連合)が発表した。

 ノルチ・エネルジア(Norte Energia)は声明で、ブラジリア(Brasilia)の連邦裁判所の裁判長が、ベロモンテ(Belo Monte)ダムの建設中止命令を撤回したと発表した。

 別の判事が10月25日、求められている環境対策に適合していないとして、ダムの建設計画の中止を命じていた。だが、ブラジル北部パラ(Para)州のダム建設現場で働く2万人の作業員が建設中止の準備を進める中、広報担当者によると、マリオ・セザール・リビエロ(Mario Cesar Ribeiro)判事が、建設中止を決定できるのは特別裁判所に限られると述べたという。

 連邦裁判所のアントニオ・ソーザ(Antonio Souza)判事は10月25日、検察当局がノルチ・エネルジアが環境対策を順守していないと提訴したことを受け、プロジェクトの環境ライセンスの停止とダム建設作業の中止を命令。これに対し、ノルチ・エネルジア側は「責任と約束を徹底的に順守している」と反論していた。

 ダム建設に対しては、先住民団体がアマゾン川支流のシングー川(Xingu River)でのダム建設で生活様式が損なわれると懸念を表明し、環境活動家は森林破壊と温室効果ガスの排出増、生態系への取り返しのつかない被害をもたらすと警告していた。

 ブラジル政府によると、ベロモンテダムは130億ドル(約1兆2800億円)規模のプロジェクトで、1万1000メガワットの発電容量を目指している。500平方キロの範囲が水没する見通しで、1万6000人が移住を余儀なくされる。

 完成すれば、中国の三峡ダム(Three Gorges Dam)、ブラジル南部のイタイプ(Itaipu)ダムに続き、世界で3番目に大きなダムになる。(c)AFP