【11月3日 AFP】中国で最も豊かな都市、北京(Beijing)と上海(Shanghai)で離婚が急増している。不動産税制が変更されて、離婚した夫婦に有利な「抜け穴」ができたためだ。

 北京市民政局が先月発表した統計によると、同市では今年1~9月、前年同期比41%増となる約4万組の夫婦が離婚した。また、同様に当局がまとめたデータによると、上海市でも同じ期間に前年同期比約40%増の4万4000組以上が離婚した。一方、まだ不動産税制が変更されていない南西部の重慶(Chongqing)市では、同じ9か月間の離婚の増加率は7%余りにとどまった。

 中国では結婚登録センターが離婚申請も受け付けるが、国営紙・北京青年報(Beijing Youth Daily)によると上海のセンターには次のような言葉が掲示されている──「不動産市場にはリスクがあります。離婚前にもう一度よく考えましょう」。

■離婚理由は「節税」

 中国政府は今年3月に国内全域を対象として、住宅の売却益に20%のキャピタルゲイン税を課すと発表した。

 ただし、住宅2軒を所有している夫婦が離婚し、それぞれが個人で1軒ずつ所有することにした場合、いくつかの条件を満たせば売却益は非課税になる。売却後に夫婦が復縁することも可能だ。

 不動産税制の変更前、住宅を売却した所有者は売却額の1~2%を税金として納めていた。また、1軒しか持っていない住宅に5年以上居住した後、その住宅を売却した場合は非課税とされていた。

 中国の不動産価格は、扱いに注意が必要な難しい問題になっている。当局はこの3年、不動産価格の高騰を抑制しようと努めてきた。キャピタルゲイン課税の他、2軒目以降の住宅購入を抑制するための措置や、頭金比率の引き上げ、一部地域では複数の住宅の取得や居住地以外での住宅取得に対する課税などが実施されている。(c)AFP/Fran WANG