【10月31日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は30日、米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)が、世界各地にある米インターネット検索大手グーグル(Google)とインターネット大手ヤフー(Yahoo)のデータセンターからの通信を傍受していたと報じた。

 同紙は米中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者から入手した情報や米当局者らへの取材に基づき、NSAはこのプログラムを使い、米国民を含む数億人のユーザーアカウントからデータを自由自在に収集することができる、と伝えている。

 記事によると、「MUSCULAR」と呼ばれる同プログラムは、NSAと英政府通信本部(GCHQ)が共同で運用している。これにより両機関は、グーグルとヤフーが利用する光ファイバー・ケーブルを流れるデータを傍受することができる。テクノロジー企業からのデータ収集に裁判所命令を必要とする「PRISM」とは異なり、秘密裏に実施されているプログラムとみられるという。

 また、記事が引用した今年1月9日付の機密書類によると、同日までの30日間で約1億8100万件の情報が収集されていた。これには、電子メールのメタデータや、テキスト、音声、動画といったコンテンツなど、多岐にわたるデータが含まれる。

 この書類にはまた、NSAが米国以外で通信傍受を行っていたことや、社名が伏せられている通信プロバイダーがアクセスを極秘に認めていたことが示されている。同紙は、NSAにとっては裁判所命令を必要とする国内よりも、米国外の方がより自由に活動できるだろうと指摘している。

 この記事について、NSAのキース・アレグザンダー(Keith Alexander)局長は首都ワシントン(Washington D.C.)で開かれた会議で、「承知していないが、内容は正確ではないと思われる」と述べた。

 一方、グーグルとヤフーはいずれもこの問題について声明を発表し、米国だけでなく、いずれの政府機関にも自社のデータセンターに対するアクセスは認めていないと強調している。(c)AFP