【10月30日 AFP】オーストラリア連邦最高裁は30日、2007年に出張先の宿泊施設で性行為中にけがをしたとして、労災保険給付の請求をしていた国家公務員の女性に対し、補償を認めない判決を下した。

 氏名を公表していないこの女性は、雇用主が予約した部屋に宿泊。性行為中に照明器具が落下してきたことで鼻と口、歯にけがをしたほか、精神的な傷を負ったという。

 しかし、4年間に及ぶ裁判の末、最高裁は、負傷した際、女性は具体的に職務に関連した活動を行っていたわけではなかったとして、女性の訴えを退けた。

 最高裁は判決で、「負傷時に従業員(女性)が従事していた活動の状況から生じる疑問は、雇用主は従業員に対し、その活動に従事するよう仕向けたり促したりしたのか、という点だ」と述べ、「この場合、この疑問に対する答えはノーだとの判断が多数を占めた」と説明した。

 女性は2009年、連邦政府の職員を対象とする労働安全・補償管理機関のComcare(コムケア)に労災申請し、一度は認められたものの、後に決定が取り消されていた。

 その後、女性はこの問題を行政控訴裁判所に持ち込んだが決着が付かず、連邦裁判所での審理を経て、最高裁で争っていた。今回の最高裁の判決を受け、問題はこれで決着した形となる。(c)AFP