【10月30日 AFP】米国が欧州で数千万件の通話を傍受したとされる疑惑について、米国の各情報機関トップは29日、「全くの誤解」と反論した。疑惑の渦中にある米国家安全保障局(National Security AgencyNSA)のキース・アレグザンダー(Keith Alexander)局長は、多くの場合実際に通話記録を入手してNSAに提供したのは欧州諸国の情報機関だと主張している。

 米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者からの暴露に基づき、米国が対テロ策の一環で欧州内の通話とオンライン通信を数千万件傍受していたと新聞各社が報道したことを受け、欧州の米同盟諸国はここ数日、怒りをあらわにして抗議していた。

 しかしアレグザンダーNSA局長は、米下院情報特別委員会(House Intelligence Committee)の公聴会で、これらの報道はスノーデン元職員から欧州各紙に提供された情報を誤って解釈したものだと証言。同報道は全くの誤解であり、「これらは欧州市民からわれわれが収集した情報ではない」と断言した。

 その数時間前には、米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)が、電子スパイ行為を行ったのはフランスとスペインの情報機関であり、その範囲は国境を越えて時には紛争地域にも及び、収集された情報は後にNSAに提供されたと伝えた。

 さらに上院情報特別委員会(Senate Intelligence Committee)のダイアン・ファインスタイン(Dianne Feinstein)委員長も、仏独で情報収集したのは米国ではなく仏独であり、情報収集は「市民に関するものではなく、アフガニスタンなど北大西洋条約機構(NATO)が介入する紛争地域での収集活動」だったと言明、欧州メディアの報道を否定する見方に同調した。

 もしこの反論が正しければ、NSAが市民のプライバシーを侵害しているとして米国に激しく抗議した欧州諸国政府は赤恥をかくことになる。名指しされた欧州諸国の情報機関からは、これまでのところコメントは出されていない。(c)AFP/Stephen COLLINSON