【10月28日 AFP】ペルーの首都リマ(Lima)近郊にあるインカ帝国以前の遺跡の墓地で、1000年以上前の先住民のミイラ2体が発掘された。遺跡の調査を行ってきた考古学チームが発表した。

 大人1体と子ども1体のミイラが見つかったのは、リマの高層ビル群と太平洋を望むミラフローレス(Miraflores)地区にある古代ワリ(Wari)文明の宗教的建造物、ワカ・プクヤーナ(Huaca Pucllana)遺跡。「ワカ」はケチュア語で「信仰の場所」を意味する。

 墓地発見から5日かけて慎重に発掘された2体のミイラはいずれも無傷で、発掘に携わった考古学者のグラディス・パス(Gladys Paz)氏は「30年以上に及ぶ発掘調査で、最も重要な発見の1つだ」とAFPの取材に語った。子どものミイラは死者の従者としてささげられたいけにえだという。

 高さ20メートルのピラミッド状の墓は盗掘被害に遭っておらず、保存状態は良好という。副葬品として、マテ茶を飲むのに使われたとみられるネコ型の器7個や、布袋12枚、テンジクネズミ3匹の死骸も見つかった。

 パス氏によると、西暦100年~600年の間に広さ2.5ヘクタールの土地に建造されたワカ・プクヤーナ遺跡では、1981年に発掘調査が始まってから70か所以上の墓地が発掘されているが、無傷で見つかったのは今回が3例目。2008年には13歳の少女のミイラが、2010年には自分の子ども4人と共に埋葬された女性の墓が発見されている。

 今回発掘されたミイラ2体は、今後4~6か月中に研究室で年齢や性別を調査する予定だ。

 同遺跡の発掘プロジェクトを率いるイサベル・フローレス(Isabel Flores)氏によると、ワカ・プクヤーナ遺跡の調査はまだ全体の4割しか終わっていないという。リマ首都圏には、スペイン征服以前の同地の先住民に関する手掛かりを伝える「ワカ」が、近代的な街並の間に約350か所点在している。(c)AFP