【10月28日 AFP】生後すぐにヒト免疫不全ウイルス(HIV)の治療を受けた少女が、HIV感染から治癒したとみられるとの報告が、23日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された。3歳になった現在、少女にHIV感染の兆候はみられないという。

 報告書では、誕生翌日にHIVの陽性反応を示したDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の検査結果にも触れており、本当は感染していなかったのではとの一部専門家から挙がっていた意見への回答が試みられている。

 少女には抗レトロウイルス薬が生後18か月まで投与された。その後の経過を1年半にわたって見守ったが、HIV感染の兆候が再び検出されることはなかった。

「われわれの発見は、症状がみられない現状が単なる偶然ではなく、積極的な初期治療が寄与している可能性が高いことを示している」「最大の問いはもちろん『HIVが治癒したのかどうか』だ。現時点での最善の答えは『おそらく』だ」と、報告書は述べている。

 一方で研究チームは、今後長期にわたる追跡調査が必要と指摘。この少女の事例が将来のより綿密な研究につながるような理論的根拠を示しているとはいえ、少女に「特有」な事例である可能性もあると警告した。

 担当した医療チームは、治療の成功の要因は早期介入にあったと考えている。2014年には、米政府支援の下でより大規模な試験が開始される予定だ。(c)AFP/Kerry SHERIDAN