【10月25日 AFP】サッカーAFCチャンピオンズリーグ2013(AFC Champions League 2013)の決勝のために韓国ソウル(Seoul)を訪れている広州恒大(Guangzhou Evergrande)のマルチェロ・リッピ(Marcello Lippi)監督が25日、現地でまともなトレーニング場があてがわれなかったため、ホテルで調整を行わなければいけなかったことについて怒りを示した。

 広州は26日にFCソウル(FC Seoul)との決勝第1戦を行う。その試合を前にトレーニング場で練習ができなかったため、広州の選手はホテル内で練習しなければいけなかったとリッピ監督は激しく憤りをぶつけた。

 これまでイタリア代表監督としてW杯で優勝した他、セリエAのユベントス(Juventus)を4度の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)決勝に導き、1995-96シーズンにはトロフィーを掲げているリッピ監督だが、こんな扱いを受けたのは初めてだと話す。

「結局ホテルの広間で練習をする羽目になった。不公平だと思う」とリッピ監督は通訳を通じて記者会見で語った。

「私の30年間の監督歴の中でこんなことが起きたのは初めてだ。チャンピオンズリーグの決勝に出るのはアジアと欧州合わせてこれで5度目だが、こんなに相手チームと問題があったことは未だかつてなかった」

 韓国Kリーグの関係者は、トレーニング場の照明設備が良くないことは2週間前に広州に伝えていたと説明する。その時広州サイドは、不満を言うことなく受け入れたという。

 しかし25日の午後に広州の選手がトレーニング場を訪れたところ、日没後に練習ができなくなることが判明。即急に対応策を講じる必要を迫られた。

 リッピ監督は、11月8日に行われる決勝第2戦でFCソウルが中国南部の広州の本拠地を訪れる時には、適切な練習場を相手チームに準備すると主張する。

「われわれは全世界に存在するフェアプレーの規則すべてを順守する。相手の関係者ともできるだけ話し合って、彼らに練習用のピッチが与えられるようにする」

 一方、FCソウルの崔龍洙(Yong-Soo Choi、チェ・ヨンス)監督は、広州のために可能な限り尽くしたと話し、第2戦で中国に遠征する時には「われわれは規則に定められている以上のものを広州には求めない」と付け加えた。

 この決勝では広州の優勝が有力視されている。

■海千山千リッピ監督でも初体験、ホーム&アウェーで行われる決勝

 23年ぶりに中国のチームをアジアチャンピオンの座に導くことを見据えているリッピ監督は、もし優勝できたら、その勝利は「欧州のタイトルと同等の意味を持つ」と考えているという。

「AFCはとても重要だと思う。このチームを指揮し始めて2年経った。その間にチームが肉体的にも精神的にも成長したのを見てきた。チームは以前よりまとまってきている」

「2試合の決勝で戦うのは初めてだ。私にとってこれまでなかったスタイルだ。第1戦と第2戦には十分に準備を整えて臨まなければいけない。特に第2戦の決定的な場面ではなおさらのことだ」

 南米出身のストライカーが多く活躍する広州は、ここ2試合のアウェーゲームそれぞれで4得点ずつ挙げている。しかし、26日にソウルワールドカップ競技場(Seoul World Cup Stadium)で行われる決勝でこれまでのように冒険的な戦略を用いるのか、もっと守りに入るつもりなのか、監督は記者会見では明らかにしなかった。

「この世界どこを探しても試合直前に戦略をばらす監督なんていないと思う」とリッピ監督は語る。

「24時間待てば何が起こるかわかるから」

(c)AFP