【10月23日 AFP】難民の窮状に対して、もっと寛容な心を持ってほしい──ベストセラー小説「君のためなら千回でも(The Kite Runner)」の著者でアフガニスタン出身のカーレド・ホッセイニ(Khaled Hosseini)氏が、新作「And The Mountains Echoed」についてAFPに語った。

「欧米諸国の人々の心は要塞のように固く閉ざされている」と現在米国に在住するホッセイニ氏はいう。最新作はアフガニスタンの首都カブール(Kabul)から仏パリ(Paris)、ギリシャの島、米カリフォルニア(California)へと舞台が移る複雑なストーリーだ。

「難民の人間性を忘れないことが重要だと思う」と、同氏はイタリアのミラノ(Milan)訪問中に語った。折しもイタリア沖でアフリカからの難民を乗せた船が転覆したり沈没したりして、500人以上が犠牲になるという悲劇が起きたばかりだった。「誰も、全世界の難民を受け入れるために国の門戸を開かなければいけないと言っているわけではない。(しかし)難民は自らその運命を選んでいるのではなく、運命が彼らにのしかかっているのだ」とホッセイニ氏はいう。

 同氏は戦争で荒廃した祖国にはこの33年間、住んだことがないが、国連難民高等弁務官事務所(United Nations High Commissioner for Refugees、UNHCR)の親善特使として定期的に訪れている。だが今回の新作については「あまりアフガニスタン中心にしたくなかった」と語る。

 貧しい家で育ち、幼くして引き離された兄と妹を中心に展開するストーリーは、1950年代のアフガニスタンのとある村で言い伝えられる、悪魔が子供たちを誘拐していくという恐ろしい昔話から始まり、ホッセイニ氏が現在住んでいるカリフォルニアで幕を閉じる。「人間の葛藤をより描いた、より私的な作品にしたかった。(登場人物は)モラル的に白黒はっきりつけることができない、曖昧な感じに描きたかった」という。

 同氏の小説はこれで3作目。「君のためなら千回でも」と2作目の「千の輝く太陽(A Thousand Splendid Suns)」は世界で計3800万部を売り上げた。この3作目でもその人気は衰えておらず、今年5月に米国で出版されて以来、すでに300万部が売れている。またマレーシアやアイスランド他、約40か国語に翻訳されて世界中の読者に届けられる予定だ。

 3作目ではアフガニスタンに置く比重を弱めたというホッセイニ氏だが、祖国を忘れておらず、かの地から多くのインスピレーションを得ているのは明白だ。「私の成功はアフガニスタンがあってのことだと思っている。だから私には、アフガニスタンに対する世界の人々の意識を高める義務があると思う。でも小説はとても個人的な思いから書いている──いつも小説は人間の内面の謎のようなものについて書いている。私が解明したいと思っている真実だ」

「アフガニスタンにある思想を変えたいという意図や野心はない。アフガニスタンに非常に大きな変化が訪れるとすれば、それは外国で亡命生活を送るアフガニスタン人が駆り立てるものであってはいけないという点を尊重したい」とホッセイニ氏は語った。(c)AFP/Amelie Herenstein