【10月16日 AFP】イタリア海軍は15日、欧州を目指すアフリカ難民が地中海で命を落とす事故が相次いでいることを受け、密入国予防目的での大規模なパトロール活動を開始し、地中海の海上で難民290人を救出した。

 同国沖では今月に入り、難民船沈没事故が2度立て続けに発生し、エリトリア・ソマリア・シリアからの難民約400人が死亡した。イタリアのエンリコ・レッタ(Enrico Letta)首相はこれを「死の海」と表現している。

 伊政府は同じ惨事を繰り返さないよう、領海の内外に無人機や軍艦、ヘリコプターを配備、最新鋭のレーダーや暗視装置も導入した。海軍は5隻の戦艦を派遣してパトロールを実施、15日発表の声明によると、同国最南端のランペドゥーザ(Lampedusa)島付近でこれまでに290人の難民を救出したという。

 またギリシャの沿岸警備隊も、イタリアの貨物船の協力を得て、燃料を使い果たしてイオニア海で漂流していたヨットからシリア人73人を救助した。同沿岸警備隊によると、この他にもパナマ船籍の商船が、リビア領海内で大きないかだに乗り合わせていた約80人を乗船させ、イタリアのシチリア(Sicily)州まで送り届けたという。

 同州では、議会が非常事態宣言を承認。ロザリオ・クロチェッタ(Rosario Crocetta)知事は、これにより地中海を渡って来る難民数の増加に対応する措置の迅速化を図りたい考えを示している。(c)AFP/Ella Ide