【10月15日 AFP】サッカーイングランド代表のスティーブン・ジェラード(Steven Gerrard)は、2014年W杯ブラジル大会(2014 World Cup)欧州予選のポーランド戦を15日に控え、かつてチームメートを鼓舞することができなかった辛い実体験を生かそうとしている。

 英ロンドン(London)のウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)で行われるポーランド戦は、命がけという一戦ではないが、勝利以外の結果となれば本大会出場に向けてプレーオフに回ることは避けられない。

 予選敗退の可能性は、2007年のクロアチア戦を彷彿させる。当時スティーヴ・マクラーレン(Steve McClaren)監督に率いられたイングランドはホームで2-3と敗れ、欧州選手権2008(UEFA Euro 2008)の出場権を逃した。

 この敗戦はマクラーレン政権の終わりを告げ、ジェラードに傷痕を残した。

「忘れられない記憶さ、墓に入っても忘れないだろう。代表選手として最悪だった瞬間の一つだ」

「あの夜のプレーは全くだめだった。まだ僕につきまとっている。本大会に行けなかったと。僕らは機能していなかった。動けていなかった」

 しかし、イングランド・プレミアリーグのリバプール(Liverpool FC)に所属するジェラードは、6年前の代表チームと11日の試合でモンテネグロに4-1で勝利し、活気づいている現在の代表に類似点はほとんどないという。

「一度試合が始まれば関係ないけれど、今回は全く違う。チームは信念と自信を持ってこの試合に臨むからね」

 9月のウクライナ戦でのスコアレスドローをきっかけに、ロイ・ホジソン(Roy Hodgson)監督は、モンテネグロ戦で若手選手に信頼を起き、自信を植え付けた。

 特に、フル代表デビューを飾ったアンドロス・タウンゼンド(Andros Townsend)が見せたパフォーマンスは士気を盛り上げた。

 ジェラードは、チームの中に国際舞台の経験が少ない選手が多い場合、注目を浴びるイングランド代表の試合でのプレッシャーにどのように対応すべきかを尋ねられれば、助言するように注意を払っていると明かした。

「試合に向かうバスの中で、若い選手にそういった気持ちについて話した。小さな経験でも分け合うことができるならするべきだ。若い選手を怖がらせない、それが効果的に伝える方法の一つだ」

「僕が2008年に関してしたようにではなく、今回は笑って振り返られるようにしなくちゃならない。誰もが試合の大きさを分かっている。プレーしたがっている。若い選手はアンドロスのプレーに鼓舞されているんだ」

 ジェラードにとっては、イングランドをW杯に導くことがもちろん大きなモチベーションとなっている。

「ロイが初めての招集の時、正規の主将に命じてくれた。欧州選手権だけでなく、W杯でもね。(ポーランド戦で)勝利できれば、僕としては本当に大満足できるだろうね」

 ホジソン監督率いるチームの見通しは明るいものの、以前のイングランドにつきまとっていた懸念要素は完全に消え去ったわけではない。

「完全に消え去ると言うことはないと思う。ファンの中にはとても大きな期待があると思うけれど、恐れという言葉は助けにはならない。プレッシャーはあるけれど、今の順位にいればこういった試合は楽しみになるものさ」

「時折、チームは大きな恐怖とプレッシャーの中で戦っていると考える。でもロイは、リラックスしながらもとてもプロフェッショナルな雰囲気を作り出してくれた。そして、選手に信頼を置いてくれているんだ」

(c)AFP