【10月14日 AFP】インド東部沿岸に12日夜に上陸した大型サイクロン「ファイリン(Phailin)」による死者は少なくとも18人になった。当局者が13日明らかにした。

 政府防災当局によると、 オリッサ(Orissa)州で17人、アンドラプラデシュ(Andhra Pradesh)州で1人の死亡が確認された。オリッサ州防災当局の幹部は同州の死亡者17人はいずれも倒れてきた木や壁、屋根による圧死だったと語った。

 ファイリンの被災地は1999年にもサイクロンで8000人以上が死亡し、農畜産業も大打撃を受けて復興に数年を要したが、今回は当局者らがインド史上最大だとしている大規模な避難が功を奏し、犠牲者を最小限にとどめることができたと言えそうだ。

 オリッサ州で87万3000人、アンドラプラデシュ州で少なくとも10万人がファイリンの上陸前に避難した他、オリッサ州に隣接する西ベンガル(West Bengal)州の沿岸部の住民も避難していた。

 インドPTI通信(Press Trust of India)はオリッサ州政府当局者の話として、サイクロンの接近で海が荒れたため陸から約4キロの沖合で動けなくなったトロール船の乗組員18人が、船を捨てて泳いで海岸にたどり着いていたのが13日に見つかり、同州パラディプ(Paradip)港近くの病院に運ばれたと報じた。

■復旧作業本格化

 死者は少なかったものの、ファイリンは大きな物的損害を残し、インド国家災害対応部隊(National Disaster Response Force)は各地で倒れた木や送電線の鉄塔のがれきなどを片付ける作業に当たっている。サイクロンの目が上陸したオリッサ州ゴパルプール(Gopalpur)では大型トラックが何台も横倒しになっているのが見られ、暴風の強さを物語っていた。

 ニューデリー(New Delhi)で記者会見した国家災害対策局(National Disaster Management Authority)のマリ・シャシドハル・レディ(Marri Shashidhar Reddy)副局長は、復旧作業は本格化し、なぎ倒された木やがれきの撤去はすでに685キロ分の道路で終了したと述べた。

「国際機関は(サイクロンとその被害について)誇張しようとしていたが、われわれは素晴らしい対処を行った」とレディ氏は述べた。サイクロンが直撃する前、外国の気象学者らが、インドの気象当局が予想する以上の被害になる恐れがあると警告していたことを踏まえての発言だ。

 今回のサイクロンは、インドを襲ったものとしては過去14年で最大。オリッサ州の特別救難コミッショナーによると同州では約60万人が家を失った。(c)AFP