【10月8日 AFP】フランスのニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)前大統領(58)が、2007年大統領選時に違法献金を受け取ったとして刑事訴追された事件で、予審判事は7日、サルコジ氏の不起訴を決定した。

 予想外のこの決定により、次期大統領選への出馬を示唆しているサルコジ氏にとって目下最大の障害が取り除かれた。ただし、この疑惑以外の案件についての同氏に対する捜査は今後も継続される。

 右派のカリスマ的存在と目される同氏は、大統領に選出された2007年大統領選での資金集めの一環で、フランス一の富豪女性リリアン・ベタンクール(Liliane Bettencourt)氏から不正に現金を受け取っていたとされる疑惑をめぐる大規模な捜査の対象となり、今年3月に正式に刑事訴追された。起訴されて有罪となれば、禁錮3年と公職追放を言い渡される可能性もあった。

 しかし司法筋がAFPに語ったところによると、本件の判事は6か月の予審を経て、訴追された12人のうち、サルコジ氏と税金関連の弁護士ファブリス・ゴゲル(Fabrice Goguel)氏の2人を不起訴処分にすると決定したという。

 サルコジ氏はこの判断を歓迎。支持者に謝意を伝えるとともに、政敵に対しては本件を悪用しようとしたとして非難した。

 サルコジ氏は、昨年の大統領選で社会党のフランソワ・オランド(Francois Hollande)現大統領に敗れて以来、多数の国際会議に出席して資金を増やしたり、元スーパーモデルのカーラ・ブルーニ(Carla Bruni)夫人と2人の間に生まれた娘との時間を優先したりと、政界からは距離を置いている。

 しかし2017年の大統領選への出馬の可能性は繰り返し示唆している。中でも注目を集めた発言として今年、社会党が生み出した経済不調からフランスを「救済する」ため復帰もやむを得ないと述べていた。(c)AFP/Odile DUPERRY