【10月2日 AFP】国外旅行をする中国人は公共の場で鼻をほじったり、プールの中で小便をしたり、航空機の救命胴衣を盗んだりしないように──中国人旅行者らの常軌を逸した行動をたしなめようと、中国の対外イメージを気にする当局がガイドブックを発行した。

 中国国家観光局(National Tourism Administration)は、10月1日から中国の大型連休「ゴールデンウイーク」が始まるのを前に、ウェブサイトで64ページに上る「文明的な観光」のガイドブックを発行した。していいことと、してはいけないことがイラスト付きで解説されている。

 中国人観光客の国外旅行が増えるに連れ、「非文明的な振る舞い」をする人として中国人のイメージが定着しつつある。汪洋(Wang Yang)副首相は5月、旅行者らの行動が「中国人のイメージを損なった」と述べていた。

 国家債務の多い欧州の一部の国などは裕福になりつつある中国人観光客を呼び込もうとビザ(査証)の規制を緩和したが、その結果、中国人のマナーに対する苦情も増えている。

 今年2月、香港(Hong Kong)を訪れた中国本土の女性が、混雑したレストラン内で、息子にボトルに小便をさせ、オンラインで激しく非難される出来事があった。ある香港市民は本土の中国人を「イナゴの群れ」だと非難した。

■「してはいけないこと」を詳細にリストアップ

 これまでにも当局は観光旅行者用のガイドラインを発行していたが、今回のガイドブックは旅行者の行動について非常に詳細に解説している。

 ガイドブックは、公共の場で鼻をほじってはならないこと、鼻毛を切ること、歯の間にはさまったものをとりたいときは指を使わないことなどを忠告。さらに、公衆トイレを長時間占有しないこと、便座に足跡を残さないこと、プールで小便をしないことなども列挙している。

 また、航空機を利用したときに座席下部の救命胴衣を持ち帰ってはならないことも指摘。「もしも危険な状況になったときに、誰かが救命胴衣を使えなくなる」と説明をした。

 ツアーガイドをするザンさんは1日、勤務先のツアー会社からこのガイドブックを受け取ったと語った。(c)AFP