【10月2日 AFP】梗塞の患者や心疾患のある人の死亡リスクを減らす上で、運動が一部の薬剤と同程度の効果があるとする論文が1日、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)の電子版で発表された。

 英ロンドン大学経済政治学院(London School of EconomicsLSE)、米ハーバード大医学部(Harvard Medical School)、スタンフォード大学医学部(Stanford University School of Medicine)の研究者らによる共同チームは、複数の研究結果を比較し、冠動脈性心疾患のある人や梗塞の患者、前糖尿病状態や心不全がみられる人に対する運動と薬物治療の効果を調べるために、計33万9274人が参加した無作為比較対照試験の結果305件を分析した。

 声明によるとこのデータ調査では、冠動脈性心疾患のある人または前糖尿病の症状を呈している人では、運動と薬物治療の効果に統計的に差異は検出されなかった。しかし、梗塞の患者では、運動の方が薬物治療よりも効果が高く、逆に心不全の治療では薬物治療の方が効果があった。

 現時点ではこの比較に関する情報は不足しているため、研究チームは発見を裏付けるためにさらなる臨床試験を促している。

 健康と長寿にとって運動は大きな要因の一つだが、多くの研究では運動より薬物治療を中心としたものとなっている。

 研究チームは、医学研究では「ライフスタイルを改める対策よりも、薬物療法に重きを置くようになっている。また運動指導の方がより効果的な治療の選択肢となる可能性がある場合においても、現在の医学文献が薬物使用の選択を臨床医に強いている」と批判した。

 研究チームはまた、より詳細に判明するまでは、運動を「薬物治療に対する、または平行できる実行可能な代案としてみなすべきだ」と主張している。

 世界保健機関(WHO)によると、身体不活動(運動不足)によって世界では毎年推計320万人が死亡しており、全世界の死亡例で4番目に多いリスク要因となっている。(c)AFP