【9月27日 AFP】米大リーグ(MLB)機構のコミッショナーを務めるバド・セリグ(Bud Selig)氏が26日、2015年1月に退任することを発表した。

 現在79歳のセリグ氏は、2年前に2014年シーズンが最後の任期になると表明しており、1992年にコミッショナー代行として始まり、20年以上に及んだ政権に終止符が打たれることになった。

 セリグ氏は、「愛する野球に奉仕することは、私にとって素晴らしい特権であり続ける。野球はこれまで発明された中で最高のスポーツであり、今後も飛躍的な成長を続けると期待しているし、残りの任期ではいくつかの重要な課題に取り組むつもりだ」とコメントした。

 ミルウォーキー・ブルワーズ(Milwaukee Brewers)のオーナーだったセリグ氏は、1992年に不信任を突きつけられて退陣を余儀なくされた当時のコミッショナー、フェイ・ヴィンセント(Fay Vincent)氏の後任としてコミッショナー代行に就任すると、1998年には正式にコミッショナーに選出された。

■大きなビジネスに成長した一方で、影を落としたドーピング問題

 セリグ氏の任期中、MLBは90億ドル(約8900億円)のビジネスに成長した。しかし、それと同時にドーピング問題によって汚された。

 今季はニューヨーク・ヤンキース(New York Yankees)のアレックス・ロドリゲス(Alex Rodriguez)に禁止薬物使用疑惑で211試合の出場停止を科したが、ロドリゲスは異議を申し立てて出場を続けている。

 セリグ氏は選手とたびたび衝突し、1994年には給与をめぐる球団オーナーと選手会の激しい対立を引き起こし、ワールドシリーズ中止という事態を招いた。

 結局1994年シーズンは全日程の3分の2しか消化できずに終了し、ファンが激減したモントリオール・エクスポズ(Montreal Expos)は、ワシントン(Washington)への移転を余儀なくされた。しかしその苦い経験が教訓となり、その後のMLBでは、北米のチームスポーツで近年頻発しているオーナーと選手会の金銭面での対立は避けられている。

 セリグ氏は、米国政府の聴聞会に出席し、球界のステロイド乱用についてほぼ12時間にわたり非難を浴びたことでも有名だ。

 セリグ氏は辛辣な批判をきっかけにMLBの反ドーピング方針を定め、世界反ドーピング機関(World Anti-Doping AgencyWADA)のガイドラインに従っていないものも多い北米の人気チームスポーツの中では、薬物使用に最も厳しいスポーツへと改革した。

 MLBでは、マーク・マグワイア(Mark McGwire)氏とバリー・ボンズ(Barry Bonds)氏による本塁打の新記録をめぐる争いが、ドーピングが絡んだ不名誉な形で終わりを迎えている。

 マグワイア氏がパフォーマンスを高める薬物の使用を認めた一方で、MLBの通算本塁打記録を更新したボンズ氏は、栄養補助食品会社バルコ(BALCO)によるドーピング・スキャンダルとの関わりが報じられ、裁判では大陪審での審理妨害についてのみ有罪評決を受けたものの、ファンの反感を買った。

■インターリーグやビデオ判定、WBC開催などセリグ氏が残した功績

 セリグ氏はほかにも、1994年にア・リーグとナ・リーグでそれぞれ2つだったディビジョンを3つに変更し、プレーオフの出場枠をそれまでの4チームから8チームに拡大すると、2度目の拡大で現在の10チームとした。

 そして、純粋な野球ファンの要望に応える形で1997年にはインターリーグを開始し、それにあわせてヒューストン・アストロズ(Houston Astros)がナ・リーグからア・リーグへ移管、両リーグ15チームずつで統一した。

 セリグ氏はアリゾナ・ダイヤモンドバックス(Arizona Diamondbacks)とタンパベイ・レイズ(Tampa Bay Rays)の球団設立にかかわり、1998年には、ブルワーズをア・リーグからナ・リーグに移管した。

 また、セリグ氏はシーズン中盤に開催されるオールスターゲームの勝者に、ワールドシリーズのホームアドバンテージを与えることを決定し、本塁打の判定をめぐる問題では、録画映像によるビデオ判定を限定的に導入した。リプレーについては、範囲が拡大された新たな制度が2014年から導入される。

 巨大なテレビ収入の市場を持つ球団と、比較的小さな街を本拠地とする球団の戦力を均衡させる施策もとられ、収益分配の制度が変更された。ぜいたく税も導入され、豊富な資金を持つ球団がフリーエージェントの選手を次々と獲得し、資金力の乏しい球団に対して優位に立つことは難しくなった。

 セリグ氏の下で、MLBは野球の国際大会ワールド・ベースボール・クラシック(World Baseball ClassicWBC)を主催するようにもなった。MLBは五輪参加のためシーズンを途中で中断することには難色を示しており、シーズン開幕前の3月に開催され、世界中からトップ選手が参加して競い合うWBCを支持している。(c)AFP