【9月27日 AFP】訪米した安倍晋三(Shinzo Abe)首相が25日にニューヨーク証券取引所(New York Stock ExchangeNYSE)で行った演説で、日本の経済再生を米金融街の大物で犯罪者に転落した映画の登場人物に例えたことについて、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は26日、首相が最も伝えたかったのは日本が復活したことだと述べ、首相の発言を擁護した。

 安倍首相はNYSEで行った演説で、ホットドッグや寿司などの食べ物から野球や米国のヘビーメタルバンド、メタリカ(Metallica)に至るまでさまざまな話題に触れつつ、オリバー・ストーン(Oliver Stone)監督の『ウォール街(Wall Street)』(1987)に登場するアンチヒーロー、ゴードン・ゲッコー(Gordon Gekko)について繰り返し言及した。

 安倍首相は、「私がここに来たのは、日本が再び金を生む国になったことを伝えるためです。ゴードン・ゲッコーが金融界に復帰したのと同じように。私たちは今ここで断言できる。『Japan is Back』と」と述べた。「『どうすれば世界経済を再生できるのか?』と聞かれれば、私はゴードン・ゲッコーの言葉をもじってこう答えます。たった3語ですよ。『Buy my Abenomics!』」

 この映画の中で、企業を買収したゲッコーは最終的にインサイダー取引などを行った罪で刑務所に送られる。ゲッコーの名台詞「貪欲は善だ」は、経済が過熱した1980年代を象徴するものになった。

 この映画でアカデミー賞(Academy Award)主演男優賞を受賞した俳優のマイケル・ダグラス(Michael Douglas)さんは、2010年に公開された続編『ウォール・ストリート(Wall Street: Money Never Sleeps)』で再度ゲッコーを演じた。続編は出所後のゲッコーの悪行とその後の改心を描いている。安倍首相が言った「Buy my Abenomics!(アベノミクスを買って!)」は、続編でゲッコーが聴衆に自分の本を買わせようとしたシーンを念頭に置いたものだとみられる。

 26日午前の記者会見で、映画の登場人物とはいえ犯罪者が首相のスピーチの題材として適切だったのかと質問された菅官房長官は、「総理が一番言いたかったのは『ジャパン・イズ・バック』、このことを一番言いたかったというふうに思います」と述べ、「ゴードン・ゲッコーは第2作目には社会復帰をされていたのではなかったでしょうか」と付け加えた。(c)AFP