【9月19日 AFP】レゲエの神様こと故ボブ・マーリー(Bob Marley)の初期の音源を使ったリミックス・アルバムの発売をレコード会社大手ユニバーサルミュージック・グループ(Universal Music GroupUMG)に妨害されたとの訴えが認められなかった米音楽関連会社が、これを不服として上告した裁判で、米カリフォルニア(California)州の控訴裁判所は17日、下級審に訴えの受理を命じた。

 著作権が争われているのは、マーリーを中心に結成されたレゲエバンド、マーリー・アンド・ザ・ウェイラーズ(Marley and the Wailers)が、ユニバーサル傘下のアイランド・レコード(Island Records)と契約する以前の1969~1972年にレコーディングされた音源。

 音楽関連会社ロックリバー・コミュニケーションズ(Rock River Communications)は2006年、別のレコード会社と交わした契約に基づき、「ルーツ、ロック、リミックス(Roots, Rock, Remixed)」と題した16曲からなるリミックス・アルバムを発売しようとしたところ、著作権を理由に発売を妨害されたとしてUGMを訴えた。

 UGM側は妨害した事実はないとして訴えの却下を求め、下級審がこれを認めたため、ロックリバー側が上告していた。

 ロックリバー側は、同アルバムに収録されている曲の著作権は、マーリーがアイランド・レコードとの契約を結ぶ以前、音源の使用をめぐる許可を管理していたニュージャージー(New Jersey)州のサンフアン・ミュージック(San Juan Music)から正規に取得したものだと主張している。

 カリフォルニア州にある第9巡回控訴裁判所(Ninth Circuit Court of Appeals)は、マーリーがキャリアの初期に出身地ジャマイカで録音していたころには「音源の管理は念頭になかった」とし、また「それら(初期の)音源の著作権の所在がどこにあるとされるかについては(数十年にわたって)業界内で混乱がある」ことについては認めた。

 しか3人の裁判官は「著作権の有効性に関するロックリバー側の主張には不備があるが、それと同様にUMG側の著作権の主張も妥当性を欠くため、本件を即時に却下することはできない」とし、UMG側にはロックリバーを妨害しなかったことを証明する必要があるとして、審理の差し戻しを命じた。

 ボブ・マーリーは第3世界が初めて輩出したポップスターと称され、「ノー・ウーマン・ノー・クライ (No Woman, No Cry)」「ワン・ラブ(One Love)」「スター・イット・アップ(Stir it Up)」といった数々の世界的ヒット曲を生み出した。1981年5月11日にがんのため、36歳で亡くなっている。(c)AFP