【9月17日 AFP】2014年のミス・アメリカ(Miss America)コンテストで、史上初めてインド系の女性が頂点に立った。ニューヨーク(New York)州出身で医師を目指すニーナ・ダブルリ(Nina Davuluri)さん(24)だ。だがネット上では、ダブルリさんを「アラブのテロリスト」などと中傷するコメントも多数寄せられている。

 ニュージャージー(New Jersey)州アトランティックシティー(Atlantic City)で15日に開かれた決勝大会で、伝統的なボリウッドスタイルのダンスを披露して栄冠を手にしたダブルリさんは、翌16日に出演したABCテレビで、「ミス・アメリカの舞台にボリウッドが登場したのは初めてで、私にとっても、インド系社会にとっても名誉なことです」と語り、自らの優勝を多様性の勝利と表現した。

■「多様性の勝利」、中傷にも「乗り越えねば」と笑顔

 しかしダブルリさんに対してはこれまで、人種差別的な発言も数多く寄せられている。中には短文投稿サイトのツイッター(Twitter)で、ヒンズー教徒とされるダブルリさんを「アラブ系のテロリスト」と呼ぶ者まで現れた。あるユーザーは「これはミス・アメリカ。NYから出て行って。テロリストみたい」とつぶやき、またカンザス(Kansas)州からのものとみられるツイートには、「マジ?!あのアラブ系が優勝?!これはミス・アメリカ!ミス・アラビアじゃない!ミス・カンザスは軍所属のカントリーガールなんだぞ!」と書かれている。

 一方、このようなコメントを非難して「ミス・アメリカが白人じゃないから人種差別しているんだ」という声や、「この世界は何も分かっていない。インド系だろうとなかろうと、ミス・アメリカのタイトルを手にする権利はある。これだからアメリカなんて出て行きたい!」というツイートもみられた。

 15日夜の記者会見でダブルリさんは中傷をものともせず、「これを乗り越えなくてはなりません。私は常に、自分自身を何よりもまず米国人だと認識してきたのですから」と、笑顔を輝かせて語った。さらに、このコンテストで「多様性が尊重されたことを本当にうれしく思います。これを見ている子どもたちが、やっと共感できる新しいミス・アメリカに出会えたと思ってくれるなら幸いです」と話した。

 ダブルリさんにはミス・アメリカの称号に加え、5万ドル(約500万円)の奨学金が授与された。(c)AFP