【9月14日 AFP】ルーマニアの議会は10日、街中で捕獲された犬の飼い主が2週間以内に名乗り出なかった場合、当局による殺処分を認める法案を賛成266、反対23、棄権20の圧倒的多数で可決した。首都ブカレスト(Bucharest)で先週、4歳の男児が野良犬の群れに何度もかまれて死亡するといういたましい出来事があり、国民の間で悲しみと怒りが渦巻いていた。

 議会前で数百人の動物愛護活動家が「殺処分より避妊を」と抗議するなか可決された今回の法案が施行されるにはトライアン・バセスク(Traian Basescu)大統領が承認する必要があるが、同大統領は野良犬の殺処分に賛成している。野良犬の殺処分を認める法律は以前にもあったが、2012年1月に憲法違反だとされていた。

 ブカレストにはおよそ4万~6万匹の野良犬がいるとされ、その大半が犬好きの市民から餌を与えられている。ルーマニアの野良犬問題は、独裁政権時代のニコラエ・チャウシェスク(Nicolae Ceausescu)大統領が中庭を取り囲むように建っていた住宅を解体して犬を飼う十分な広さがない集合住宅に建て替えるよう命じた1980年代にさかのぼる。また避妊手術を受けない犬が多いことや、捨て犬も問題を大きくしている。

 ブカレストでは殺処分が禁止される前の2001~2007年に14万5000匹近くの野良犬が殺処分された。(c)AFP