【9月13日 AFP】22日のドイツ連邦議会選挙でアンゲラ・メルケル（Angela Merkel）首相の最大のライバルと目されている最大野党・社会民主党（SPD）の首相候補、ペール・シュタインブリュック（Peer Steinbrueck）前財務相（66）がカメラに向かって中指を突き立てている写真が12日、インターネット上に出回り、批判や嘲笑を巻き起こしている。

 問題となっているのは、スーツにネクタイ姿のシュタインブリュック氏が中指を立て、冷笑を浮かべてカメラをにらみつけている白黒のポートレート写真で、13日付の南ドイツ新聞（Sueddeutsche Zeitung）の折り込み週刊誌の表紙に掲載された。

 発売に先立ってネットに出回った画像に対し、政界からは反発の声が相次ぎ、インターネット上ではマイクロブログのツイッター（Twitter）でシュタインブリュック氏をあざ笑う書き込みが殺到している。

 メルケル首相のキリスト教民主同盟（CDU）と連立政権を組む自由民主党（FDP）党首のフィリップ・レスラー（Philipp Roesler）財務相は、「首相候補として取ってはならないポーズだ。容認できない」と批判した。

■「陳腐な質問」に「本音」で答えた？

 シュタインブリュック氏は「本音で語る」政治家を自任し、失言が多いことで知られる。

 今回の写真は、質問に対して言葉を使わずに回答するというコンセプトに従った一連の写真の中の1枚で、選挙運動をめぐる失態についての質問に答えた際のものだ。質問の内容は、シュタインブリュック氏の名前（ペール）と、同氏が以前イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ（Silvio Berlusconi）元首相を「ピエロ」と呼んでイタリア国民の怒りを買ったことをかけて、「災難ペール、問題児ペール、ペルルスコーニ。ニックネームの数には事欠きませんね」だった。

 批判に対しシュタインブリュック氏はツイッターへの投稿で、「本音で語るのに、必ずしも言葉は必要ない。たとえば、真に重要な質問でなく陳腐な問いばかり投げかけられ続ける場合などだ」と自己弁護している。

■選挙戦の行方は

 シュタインブリュック氏は先日、テレビ討論でメルケル首相と互角の激論を交わし、伸び悩んでいた支持率の上昇につながるかと思われたが、今回の「中指」写真は選挙戦に致命的な影響を及ぼす恐れがある。

 一方、シュタインブリュック氏より20～30％高い支持率を得ているメルケル首相は今週、「（同氏の）ユーモアのセンスを楽しんでいる」と語っている。(c)AFP