【9月12日 AFP】多くの中年男性が訴える、おなか周りの肉付きや性欲の減退は、ホルモンの欠乏が関係しているとした研究が11日に発表された。ただ研究によると、関係しているのは男性ホルモンの欠乏だけではないという。

 これまで、男性ホルモンのテストステロン(Testosterone)の分泌能力が落ちることが原因で、おなか周りが太ったり、性欲が減退すると考えられてきた。しかし研究チームによると、実は女性ホルモンのエストロゲン(Estrogen)もこれに深く関わっているという。

 米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のジョエル・フィンケルシュタイン(Joel Finkelstein)氏は、「研究は、生理(学)的機能の衰えが始まるテストステロン値を調べ、どのような男性(患者)にどれだけのホルモンサプリを投与するかの指針を得るものだった」と説明する。

「しかし驚いたことに、テストステロンの欠乏によるものと、ごく普通に考えられてきたいくつかの症状については、部分的に、もしくはほぼ全面的に、エストロゲンの欠乏に起因するものであることが分かった」(フィンケルシュタイン氏)

■エストロゲンの欠乏で性欲が減退

 これまで、男性の性腺機能低下症──体に異常を来すほどの性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)機能が急激に低下する障害──との診断は、単にテストステロン値の計測のみで判断されてきた。

 男性の体では、テストステロンの一部がエストロゲンへと変わるため、テストステロンの分泌能力と体内の女性ホルモンの量は緊密な関係にある。そのため性腺機能低下症の男性に、どのホルモンをどれだけ投与するのかの判断はとても難しいものとなっている。

 これを判断するため、研究チームは体内のホルモン分泌能力が抑制された20歳~50歳の男性300人以上を対象に調査を行った。調査では、半分の被験者に1日分のテストステロンジェルとエストロゲンへの変換を抑制する薬、残る被験者にはジェルと共にプラシーボ(偽薬)が16週間にわたり毎日与えられた。

 調査の結果、テストステロンは除脂肪体重(LBM)と筋肉の強度を調節し、一方のエストロゲンは体脂肪の蓄積に深く関係していたことが分かった。

 性機能面では両ホルモンともに関係していた。エストロゲンの欠乏で性欲の減退が現れ、テストステロンの減少で勃起機能に障害が生じるという。(c)AFP