【9月11日 AFP】米政府は10日、国家安全保障局(National Security AgencyNSA)がプライバシー保護に関する規則に違反していたことを示す文書の秘密指定を解除した。文書はNSAが法的な正当性なく、米国民の通話の傍受などを行っていたことを示している。

 秘密指定の解除は、インターネット上のプライバシーや言論の自由といった権利の擁護活動を行う非営利団体、電子フロンティア財団(Electronic Frontier FoundationEFF)が起こした情報自由法関連の訴訟で、裁判所が政府に出した命令によるもの。

 開示された文書には数百ページの裁判所命令も含まれており、NSAが2006~09年に潜在的なテロ計画を追跡するために通話記録(メタデータ)を収集していた際にプライバシーを侵害したことを示している。

 文書によれば、外国情報活動監視裁判所(Foreign Intelligence Surveillance CourtFISC)はNSAからプライバシー侵害があったという報告を受け、米連邦捜査局(FBI)の捜査対象になっていない米国民のデータをNSAが収集していたことを知った。

 開示された文書からは、NSAに出した命令が守られず、情報収集活動の実態も正しく報告されていないとしてFISCがNSAを厳しく非難し、両者の間で激しいやりとりがあったことが分かる。

 ジェームズ・クラッパー(James Clapper)国家情報長官は声明で、開示された文書は「通話データの収集プログラムにおける過誤を特定し、是正するため、政府が特段の措置を取っていたことを示すものだ」と説明し、「文書からは、政府がこうした過誤の発生を未然に防ぐ取り組みをしていたことが分かる」と述べた。(c)AFP