【9月11日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は10日にアルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で行われた総会で新会長を決める選挙を行い、ドイツのトーマス・バッハ(Thomas Bach)氏が選出された。

 バッハ氏は、12年の任期を終えてこの度退任するジャック・ロゲ(Jacques Rogge)氏からタスキを受け取った。

 旧西ドイツ出身で現在59歳の同氏は、1976年モントリオール五輪のフェンシング・フルーレ団体で金メダルに輝いた経歴の持ち主で、IOC史上初の五輪金メダル獲得経験がある会長となる。

 2回目の投票でバッハ氏は過半数の49票を獲得し、他に立候補していた5人の候補者を退けた。バッハ氏以外で2桁の票数を獲得したのは、29票のプエルトリコのリカルド・カリオン(Richard Carrion)氏のみだった。

 ウクライナの元陸上・棒高跳び選手、セルゲイ・ブブカ(Sergey Bubka)氏は、2回目の投票でわずか4票しか得ることができないという散々な結果に終わった。また台湾の呉経国(Ching-Kuo Wu、ウー・チンクオ)氏にいたっては、1回目の投票で会長選レースから除外されている。

 バッハ氏は長年にわたってロゲ氏会長の後継者の最右翼とされ、今選挙の最有力候補とみられていた。

 結果が発表されるとバッハ氏は満面の笑みを浮かべ、「IOC会長を務めることには、絶大な責任が伴うことを理解しているが、それでもとても嬉しく思っている」と語った。

「同僚でもあり友達でもある皆さんは、私に対して多大なる信頼を寄せてくれた。心の底からお礼を申し上げる」

 バッハ氏はまた、ブエノスアイレスに来て現役時代の思い出が蘇ったと話した。

「五輪金メダルを獲得した次の年、チームとの遠征でここに来た。その時は冬で寒かったが、対戦したライバルチームと温かい関係を紡いだという思い出だけが残っている。決勝でわれわれが勝利した時も、それは同じだった」

「そしてまた今日も、私は温かい気持ちを得ることができた」

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