【9月10日 AFP】父親としての傾向と睾丸(こうがん)の大きさを比較した米国の研究によると、日々の父親業において「大きいことはより良いわけではない」ようだ。

 米エモリー大学(Emory University)の研究チームは、男性の睾丸の大きさを計測し、同じ男性たちの子育て習慣を調査した。睾丸は精子が作られる器官で、睾丸の大きさと生産される精子の量は関連付けられるとされるが、同チームによればこの種の研究は初めてだという。

 対象となったのは、1~2歳の子どもを持ち、その子どもの生物学的母親である女性と一緒に住む21~55歳の米国人男性70人。人種別内訳はアフリカ系男性が15人、アジア系男性が5人、その他は白人系男性で、大半は子どもの母親と結婚していた。研究では男性たちの睾丸の大きさを計測し、また子育てについては男性と女性の両方に別々に調査を行った。

 この結果、睾丸が大きい男性ほど、おむつの取り換えといった育児への参加が少なかった。一方、睾丸が小さい男性の方が、子どもの写真を見せたときに育児を司る脳内の領域の活動が活発で、また実際の子育てにもより積極的に参加していた。

■「育児にエネルギーを注ぐほど生殖能力は下がる」

 米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された論文の主著者で同大人類学部のジェームズ・リリング(James Rilling)准教授は「睾丸の大きい男性が常に良い父親でないとはいいたくないが、我々のデータからは、そうした男性の方が、子どものおむつの取り換えや入浴、食事の支度、医者へ連れて行くといった子育てへの参加が少ない傾向がうかがえる」と述べている。

 この調査は進化論上、人類や動物は繁殖し、子孫を育てるようにできているという説を検証する一環として行われたが、結果は「人類が繁殖努力に注ぐエネルギーは限られており、生殖か子育てのどちらか一方に注がれる」とする説を裏付けるものだった。リリング氏は「育児にエネルギーを注ぐほど生殖能力は下がるし、またその逆もいえる」と説明している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN