【9月10日 AFP】シリアで5か月前に拉致され、8日に解放されたイタリア人記者のドメニコ・キリコ(Domenico Quirico)さんとベルギー人教員のピエール・ピッチナン(Pierre Piccinin)さんは9日、反体制派に拘束されていた間のおぞましい体験について語った。殴打され、十分な食事も与えられず、あたかもこれから処刑されるように扱われる「模擬処刑」まで受けたという。

 さらに2人は、拘束していた人物らが、毒ガス攻撃に関与していたのは反体制派だと話しているのを耳にしたと話した。ピッチナンさんはこの会話について、化学兵器使用にシリア政府軍が関与しているとの疑惑を否定する証拠になると話しているが、キリコ記者は、その情報の真偽を確認するすべはなかったとしている。

 キリコ記者は、自身が所属する日刊紙スタンパ(La Stampa)の電子版が掲載した記事の中で、「私たちが拘束されていた部屋の半開きのドア越しに、身元不明の3人がスカイプを使って英語で会話しているのを聞いた。会話の中で3人は、ダマスカス(Damascus)近郊の2地域で行われたガス攻撃は、反体制派が欧米の軍事介入を誘発するために実施したものだ、と話していた」と明かしつつも、「この会話が事実に基づいたものなのか、単なるうわさなのかは、私には全く分からない」と述べた。

 ピッチナンさんによると、4月に拉致された2人は反体制派の自由シリア軍(Free Syrian Army)によって、別の反体制派組織「アブ・アンマル(Abu Ammar)旅団」に引き渡された。この組織は「イスラム主義者というよりは、盗賊に近い」ものだったという。(c)AFP