【9月10日 AFP】凍てつくアンデス山脈で消息を絶ち、4か月ぶりに救助されたウルグアイ人の男に、児童性的虐待の疑いでチリ当局から逮捕状が出されていたことが9日、分かった。「奇跡の生還者」は一転して犯罪の容疑者となった。

 ラウル・ゴメス・シンクネギ(Raul Gomez Cincunegui)容疑者(58)は8日、アルゼンチン・サンフアン(San Juan)州の標高約4500メートルにある山小屋の隣に座っているところを、偶然上空を飛行していたヘリコプターによって発見された。

 体重は40キロ余りまで落ち、脱水症状に陥っていた同容疑者はその後、同州の州都サンフアン市内の病院に搬送され、妻と娘と感動の再会を果たした。

 ところが、チリ当局は9日までに、チリの首都サンティアゴ(Santiago)で起きた8歳の男児に対する性的虐待事件に関連して同容疑者の行方を追っていたことを公表、身柄の引き渡しをアルゼンチン側に求めた。

 チリ検察が同容疑者を訴追したのは4月22日で、容疑者は被害者とされる男児への接近とチリ出国を禁じられた。その後、同容疑者が出廷日に法廷に現れなかったため、6月17日に逮捕状が出されていた。

 シンクネギ容疑者は今年4月、アルゼンチン西部メンドサ(Mendoza)で開かれたバイカーのイベントに参加するためウルグアイを発った後、チリに入国してサンティアゴに住む親戚を訪ねた。チリ検察によると、同容疑者はこの際に児童虐待に及んだとされている。

 親族によると、同容疑者は訴追された後、サンティアゴの北170キロにあるペトルカ(Petorca)に行き、徒歩でチリを出国したとされる。(c)AFP