【9月9日 AFP】米オハイオ(Ohio)州在住のマシュー・コードル(Matthew Cordle)容疑者(22)は、飲酒運転をして事故を起こし、人を死なせてしまったことをインターネットに掲載した動画で告白した。6日に公開された動画は、瞬く間に拡散した。

「私の名前はマシュー・コードル。2013年6月22日、ビンセント・カンザニ(Vincent Canzani)さん(61)に衝突して殺してしまった」──コードル容疑者がそう告白する動画は、ウェブサイト「BecauseISaidIWould.com. 」で公開された。

 専門家により撮影・編集されたと思われる約3分半の動画は、静かな音楽と共に始まる。薄暗い空間に座り、顔にモザイク処理がほどこされたコードル容疑者は、事故発生当時を振り返り、アルコールを大量に消費したために「意識が飛んでいた」と話し始める。高速道路を逆走し、カンザニさんの運転する車両と正面衝突した──と。

「起訴されたら罪を認める。ビンセントさんとご家族の方々にしてしまったことへの責任を全てとる」と語るコードル容疑者。この時点では、顔のモザイク処理は消去され、本人の顔が鮮明に映し出され、腕の傷も明らかにされている。

 コードル容疑者は、「力のある弁護士たち」から、嘘の証言を条件に、刑の軽減もしくは無罪を勝ち取ることもできると持ちかけられことを明らかにしながら、「嘘で(人々の中にある)ビンセントさんの記憶を侮辱するようなことはしたくない」と述べた。

 動画は、コードル容疑者が視聴者に呼び掛ける形で終わる。

「お願いだから…どうかお願いだから、飲酒運転はしないでください。私はカンザニさんを生き返らせることはできない…けど、あなた方はまだ自分自身を救える。犠牲者となる人たちを救うことができる」

■飲酒運転による死者、48分に1人

 利用者からの支援で運営している「BecauseISaidIWould.com. 」創設者のアレックス・シーン(Alex Sheen)氏によると、約1か月前にソーシャルメディアのフェイスブック(Facebook)を通じて、コードル容疑者から連絡があったという。同サイトは、利用者が自身に対して科す約束を公表する場となっている。

 地元紙コロンバス・ディスパッチ(Columbus Dispatch)が伝えたところによると、同件を担当するロン・オブライエン(Ron O'Brien)検察官は、警察当局から5日に受け取った調書を読んだ上で、9日の審理では、大陪審に危険運転致死傷罪で起訴するよう求める考えを明らかにしている。

 亡くなったカンザニ氏について、新聞の死亡記事は「才能あるフォトグラファー」と書き、オハイオの美術学校を卒業した後は海軍で潜水艦のミサイル技師を務めたと説明した。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によると、米国では、1日あたり約30人が飲酒運転による事故で死亡している。これは48分に1人の割合で死亡している計算になる。(c)AFP