【9月9日 AFP】ロシアの首都モスクワ(Moscow)で8日、市長選の投開票が行われ、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領側近の現職セルゲイ・ソビャニン(Sergei Sobyanin)候補(55)が半数をわずかに上回る票を獲得し当選する見込みだ。ただ、対立候補でプーチン大統領の政敵であるブロガーのアレクセイ・ナワリヌイ(Alexei Navalny)候補(37)は、選挙に不正があったとして、決選投票の実施を求めている。

 モスクワの選挙管理委員会によると、開票率80%の時点での得票率は、ソビャニン候補が51.4%、ナワリヌイ候補が27.2%となっている。

 だがナワリヌイ候補は、ソビャニン候補の実際の得票率は50%以下で、決選投票に追い込まれたと主張し、行政側がこれを認めない場合は抗議デモを行うと宣言。8日夜に自身の選挙事務所に集まった記者団に対し、「これは明らかな不正だ」と述べた。

 今回の市長選は、旧ソ連崩壊直後の激動の時代以降のロシアで初めて2人の有力候補が真の意味で争う選挙となった。ナワリヌイ候補は7月に横領罪で禁錮5年の実刑判決を受けたが、その翌日、裁判所により上訴期間は収監しないとする予想外の決定が下され、市長選への出馬が許された。ナワリヌイ候補は、自身にかけられた罪状は不正なものだと主張しており、この裁判は論争の的となっている。

 ロシア政府の元顧問で政治アナリストのグレブ・パフロフスキー(Gleb Pavlovsky)氏は、市長選の結果について「ナワリヌイ候補の勝利だ。たとえ決選投票とならなくても、彼が得た結果はとても良いものだ」とコメントしている。(c)AFP/Maria ANTONOVA, Stuart WILLIAMS