【9月6日 AFP】たばこの健康被害に関する警告表示をパッケージの前面に大きく表示すると、喫煙したいと思う若者を思いとどまらせるのを助けるが、背面に表示してもほどんど効果がないかもしれないとの調査結果をまとめた論文が、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)が発行する専門誌「タバコ・コントロール(Tobacco Control)」に掲載された。

 喫煙規制をめぐる激論が交わされている国々で物議を醸してきた話題に触れる今回の調査では、英国の10代の若者を対象とした大規模な調査で得られたデータをまとめた。

 調査は11~16歳までの若者1000人以上が参加し、2008年と2011年の追跡調査の計2回で行われた。

 2008年に英国で販売されていたたばこの箱には、前面と背面に警告の文面が大きく表示されていた。2011年には、これらに加えて箱の背面に喫煙の害を示した画像が表示されるようになった。

 2回の調査では、回答者全体の3分の2から4分の3が一度も喫煙したことがなく、喫煙を試みたことがあると答えたのは17~22%。また、約10人に1人がすでに「習慣的」喫煙者だった。1週間に少なくとも1本喫煙する者を習慣的喫煙者として定義した。

 回答者らは、パッケージの警告の文面や画像を思い出せるかどうかを尋ねられ、喫煙を思いとどまらせる可能性が高いのはどの警告かを答えた。

 回答者が最もよく覚えていたのは、箱の前面に表示された2種類の一般的な警告メッセージだった。2008年に「喫煙は死に至る」を思い出したのは全体の58%で、「喫煙はあなたとあなたの周囲の人々に深刻な害を及ぼす」を思い出したのは全体の41%だった。これらの割合は、2011年にはそれぞれ47%と25%に減少した。

 一方、箱の背面に表示されている具体性の高い内容の警告メッセージを覚えていた参加者は、2008年と2011年の調査でどちらも全体の1%に満たなかった。箱の背面の画像を思い出したのは、どちらの調査でも概して10%以下だった。

 例外は、腐った歯、病気の肺、首のがんといった3種類の恐ろしい画像で、思い出される割合が2008年から2011年にかけて高くなり、病気の肺の画像を思い出した人の割合は最高で33%に達した。これらの画像は、喫煙の「未経験者」や喫煙を試みたことがある人に対して最も効果が高かったと調査は指摘している。だが、喫煙常習者にはほとんど効果が見られず、一部の喫煙者に不快な画像を隠すための専用の「たばこ入れ」を買おうと思わせる程度の効果しかなかった。

「警告が効果を及ぼすには、目立つ表示にする必要があり、警告の画像を見にくい裏面にしか表示しないのは、効果を制限することになる」と論文は述べている。

 また、長年にわたり差し替えが行われない文面と画像の警告は、常習者にインパクトを与えられないと論文は指摘している。

 論文によると、現在60か国以上の国々で、健康に関する画像入りの警告をパッケージに表示することが義務付けられているという。オーストラリア、ブルネイ、カナダ、スリランカ、ウルグアイの5か国では、表示する警告の大きさをパッケージの表面積の75%を占めるようにするよう法律で定められている。(c)AFP