【9月6日 AFP】ケニアの国会は5日、オランダ・ハーグ(Hague)に在する国際刑事裁判所(International Criminal CourtICC)からの脱退に賛成する動議を、圧倒的多数で可決した。ICCでウィリアム・ルト(William Ruto)副大統領の公判が来週始まるのを前に、ICCに対する挑戦的な姿勢を前面に出す形となった。

 ただしこの動議の可決には象徴的な意味合いしかなく、ルト副大統領の審理には影響しない。ICCから正式に脱退するには、それに向けた措置を規定する法案を30日以内に採択しなければならない。ICC脱退を国会での採択で決めたのはケニアが初めて。

 ICCは10日、ルト副大統領の人道に対する3つの罪について審理を開始する予定。同副大統領は、2007~08年に大統領選の結果を不服とする暴動を組織した罪に問われており、この暴動では少なくとも1100人が死亡、60万人以上が住居を追われたとされる。また2か月後には、ウフル・ケニヤッタ(Uhuru Kenyatta)大統領の人道に対する5つの罪に対する公判も始まる。両者は先に、ICCに最大限協力するとしながらも、罪状については否認する考えを示していた。

 ケニアには、ICCがアフリカ人だけをやり玉に挙げる「新植民地主義的」組織とみなす政治家も多く、それがこのICC脱退動議の発端ともなっている。ICCは2002年、世界で最も醜悪な犯罪行為を裁くために設立され、各国の加盟は任意とされている。脱退を求める国は、国連(UN)へ正式な要望書を提出しなければならず、認められるまでに最低でも1年はかかるとされる。(c)AFP/Peter MARTELL