【9月5日 AFP】米アラスカ(Alaska)州冲で大地震が発生した場合、カリフォルニア(California)州は巨大津波による甚大な経済的被害を受け、75万人が避難を余儀なくされるとする報告書を4日、米地質調査所(US Geological SurveyUSGS)の研究チームが発表した。

カリフォルニア地質調査所(California Geological Survey)と共同発表を行ったUSGSのチームは「仮定ではあるが実際にあり得る」として、太平洋のアラスカ沖でマグニチュード(M)9.1の地震が起きた場合を想定した損害評価を行った。

 報告書は、巨大津波によってカリフォルニア沿岸の船舶全体の3分の1が沈没または損壊し、金額にして約7億ドル(約700億円)の損害が発生し、大きな港では津波による被害を避けようと、津波が襲来する前に多くの大型貨物船を沖合に出すことに苦心するだろうとしている。また観光客など住民以外の9万人を含む約75万人が避難を必要とすると予測している。

 不幸中の幸いとして、カリフォルニア州沿岸部の4分の3は断崖であるため、本来は壊滅的な津波の被害を直接受けずに済むだろうと報告書は述べている。一方、残る4分の1は津波の危険にさらされることになるが、これらはカリフォルニア州の資産のうち、最も経済的価値が高い資産だという。

 またカリフォルニア州にある2か所の原子力発電所はどちらも沿岸部にあるが、今回の想定下で危険性は発見されなかった。

 ロサンゼルス(Los Angeles)東方にサンアンドレアス(San Andreas)断層を抱え、米国内でも特に地震が発生しやすいカリフォルニア州は、いつか起こると考えられているM8.5以上の巨大地震を「ビッグワン(Big One)」と称して長年、警戒している。しかし2011年3月11日の東日本大震災以降、同州では地震よりもそれに伴って起きる津波の方が強く警戒されるようになっている。(c)AFP