【9月5日 AFP】国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)のジャック・ロゲ(Jacques Rogge)会長が4日、陸上・女子棒高跳びのエレーナ・イシンバエワ(Yelena Isinbayeva、ロシア)について、現在彼女が務めているIOC親善大使の解任を検討すると明かした。

 五輪で2度の金メダルに輝いたイシンバエワは、8月に行われた第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)の女子棒高跳びを制し、自身3度目となる世界選手権の優勝を飾った直後、非難を浴びているロシアの反同性愛法への支持を表明し、物議を醸していた。

 同法は「同性愛的なプロパガンダ(宣伝)行為」を禁止するもので、ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)スポーツ観光青年相は、青少年をアルコールと薬物から守るための法律でもあるとしているが、実際の真意は明確でなく、同性愛者を締め付ける手段になるともみられている。

 世界陸上でイシンバエワは、「人はみな、自分をごく普通の一般的な人間だと考えている。男は女と、女は男と暮らすものだ」と英語でコメントしたが、その後、誤解されたとして釈明していた。

 ロシアの同性愛法については、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が6月、法律に署名した直後から、各所で2014年のソチ冬季五輪ボイコットを求める動きを巻き起こしている。

 9月10日で12年間務めたIOC会長の座を退くロゲ会長は、最後の単独記者会見に臨み、同法は五輪憲章を尊重するものだとロシア政府から説明されたことを明かした。五輪憲章は性別や宗教、人種等に基づくあらゆる差別を禁じている。

 しかしながらロゲ会長は、ロシア五輪委員会(Russian Olympic CommitteeROC)からソチ五輪の五輪村村長に指名されているイシンバエワを擁護せず、自身が任命した親善大使の職にとどめるかどうかも明言しなかった。

 71歳となるロゲ会長は「(親善大使の職については)いずれ検討する」とコメントした。

 任期中に大きな成功を収めてきたロゲ会長は、同性愛法を成立させたロシアへのより厳しい対応を避けている、というIOCへの批判は見当違いであり、またIOCは五輪開催国に対し、必要であれば道徳的な権威を示してきた歴史があると語っている。

「忘れてはならないのは、私たちは主権国家で五輪を開催しており、その国の内情には関与しないという点だ」

「道徳的な権威に関して言えば、私たちはさまざまな場面で、各国の状況に対するIOCの考えを明確にしている。同時に付け加えるのであれば、私たちは各国にとって客人であることを理解し、言動や行動に制限を設けているということだ」

(c)AFP/Pirate Irwin