【9月5日 AFP】2020年の夏季五輪招致を目指す東京五輪招致委員会(Tokyo 2020 Bid Committee)は4日、アルゼンチンのブエノスアイレス(Buenos Aires)で記者会見を行ったが、会見では福島第一原子力発電所からの放射能漏れについて影響がないと強調することに終始し、招致へ向けたアピールに集中しきれない結果となった。

 国際オリンピック委員会(International Olympic CommitteeIOC)は7日に総会を行い、マドリード、イスタンブール、東京の3都市から投票で開催地を決定するが、それに先がけて行われた東京五輪招致委員会の記者会見では、福島の現状と放射能の影響について質問が集中した。

 東京五輪招致委員会の竹田恒和(Tsunekazu Takeda)理事長は厳しい表情で、放射能漏れの影響は東京に及んではいないと何度も強調した。

 しかし、1万8000人以上の死者・行方不明者を出した地震と津波による福島第一原子力発電所の事故は、五輪招致を目指す東京にとって完全なアキレス腱となっている。

 心配はないと会見で言い続けた竹田理事長だが、その一方では福島の汚染水海洋流出について、通常では考えられないほど長い手紙をIOCの各委員に送付したことも明らかになっている。

 竹田理事長は「福島の件については先週、委員に手紙を送り、東京が安全であることを伝えました」と語った。

「水は安全ですし、放射能のレベルもまったく問題はありません。安倍晋三(Shinzo Abe)首相が責任を持って解決すると発表しています。2020年の東京に一切問題はありません」

 2012年にIOC委員に選出された竹田理事長は、東京の放射線量については継続的にチェックをしているが、警戒に値する数値はまったく出ていないと語っている。

「放射線量は安全なレベルにあります。3500万人の人々がみな普通に生活しています。この問題への懸念は必要ないのです」

 会見の序盤では、五輪招致の成功が地震と津波の傷を癒すと語っていた竹田理事長だが、放射能に関して質問が集中すると次第にいら立ちを見せ、最後は話をまとめるのにも苦労する様子を見せた。

「現時点では、この問題について首相が最終プレゼンテーションで話すことになっていますし、食べ物などについてもIOCに再び確約してくれるはずです」

「東京に問題はありません。東京で問題があった人間は一人もいません。東京と福島は250キロメートル離れています。東京と福島は遠く離れているのです」

 放射能について質問が集中したことで、東京が記者会見のために温めていた一大アイデアはかすんでしまった。

 東京は日本の技術力をアピールするため、8月4日に宇宙へ飛び立ち、国際宇宙ステーション(International Space Station)で1年間を過ごすロボット宇宙飛行士「キロボ(KIROBO)」と同型のロボット「ミラタ(MIRATA)」を会見に登場させた。

 キロボは五輪招致のマークを付けてスクリーンに登場し、その上には「これは小さな一歩ですが、ロボットにとっては大きな一歩です」という、人類で初めて月に足跡を残した故ニール・アームストロング(Neil Armstrong)氏の言葉を引用した横断幕が掲示された。

 一方、世界初の言葉をしゃべるロボット宇宙飛行士キロボによる宇宙からの後押しを受けたミラタは、ブエノスアイレスの会見場で、五輪で2度の銀メダルに輝いたフェンシングの太田雄貴(Yuki Ota)とともに動きを披露した。

 ミラタは会見で「少し疲れたけど、勝負では幸運に恵まれることを祈っています」とコメントしている。(c)AFP/Pirate Irwin