【9月4日 AFP】主要20か国・地域(G20)首脳会議の開幕を間近に控えるロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は国営テレビとのインタビューで、シリアで疑われている化学兵器使用に関する確証を国連安全保障理事会(UN Security Council)に提出するよう欧米諸国に求めた。また、化学兵器を何者が使用したのかが証明されれば、ロシアは断固とした対応を取ると述べた。このインタビューの模様は4日に公開された。

 露国営第1チャンネル(Channel One)とのインタビューでプーチン大統領は、国連安保理が承認しないままでのシリアへの軍事介入は「侵略」とみなされるだろうと述べ、欧米諸国をけん制した。 

 アサド政権が8月21日にシリアの首都ダマスカス(Damascus)郊外で化学兵器を使用したことが証明されれば、米国主導の軍事介入に同意するかと問われたプーチン大統領は「(同意する可能性は)排除しない」と答えたが、その場合でも欧米諸国は安保理に「完全なる確証」を提出する必要があると述べた。ダマスカスでの化学兵器使用について、ロシアの一部高官からは、アサド政権ではなくシリアの反体制派側によるものだとする声が上がっている。

 プーチン大統領は「化学兵器が使われたという証拠があり、またそれがシリアの正規軍によるものならば、その証拠が国連安保理に提出されなければならないし、確実な証拠でなければならない」と述べ、使用された兵器の種類や使用者に関する明確な証拠があれば、ロシアには「断固とした、そして厳粛な方法で対応する用意がある」と語った。

 また常任理事国5か国の一つとして、ロシアも拒否権を発動できる国連安保理だけが「自国以外の国家に対する武力行使に承認を与えられる」場だとも述べ、「独立主権国家に対する武力行使を正当化するその他の方法は一切、容認できないし、侵略以外の何ものでもない」と警告した。

 今回のインタビューは、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)でのG20サミットを前に、ロシアのプラグマティックな一面を国際社会に印象付けようとした狙いがあるとみられる。

 同じインタビューの中でプーチン大統領は、ロシアがシリアに納入したとされる高性能対空ミサイル「S300」について、納入が中断していることを初めて明らかにし、「部品ごとに一部は納入したが、納入全体は完了しておらず当面、中断している」と述べた。(c)AFP