【9月5日 AFP】南太平洋のパプアニューギニアで「黒いイエス(キリスト)」の異名を持ったカルト集団の教祖が、いけにえとして複数の少女を殺害していたことに怒った群衆らに、めった刺しにされて殺害された後、局部を切り取られていたことが明らかになった。地元紙などが2日、伝えた。

 殺害されたのは、強姦(ごうかん)の罪で服役し、さらに人肉を食べた疑いも持たれていたスティーブン・タリ(Steven Tari)受刑者。

 地元紙ナショナル(The National)によると、タリ受刑者は服役中だった東部マダン(Madang)の刑務所から3月に48人の受刑者らと共に集団で脱獄以降、逃亡中だった。だが前週、80人の男たちに追い詰められ殺害された。遺体は局部を切り取られ、木の棒を首にくくりつけられて引きずられ、浅い穴に遺棄されていた。

 前月30日に警察などが遺体を発見、回収した。医師によると、遺体にはブッシュナイフで刺された痕が全身に複数あり、腹部の傷口からは腸が見える状態だったという。

 タリ受刑者は「黒いイエス」として知られた元牧師で、キリスト教を基本としたカルト集団を率いていた。2007年に逮捕された際、カルト集団の慣習として食人やいけにえ殺人の疑いも持たれていたが、信者の少女らを強姦(ごうかん)した罪でのみ起訴され、2010年に10年の禁錮刑を言い渡された。タリ受刑者は自分と結婚することが「神の予言」だと少女たちを言いくるめていた。

 当時、タリ受刑者には村人数千人が従い、村の自警団が同受刑者の警護にあたっていた。だがナショナル紙は、「若い女性を、いけにえとして殺す」など、同受刑者が説く教義に村人たちは次第に嫌気がさしたと報じている。

 地元警察によると、村の1集団が前週、タリ受刑者に15歳の少女をいけにえとして差し出した。その後、少女は刺殺体で見つかった。この集団は、さらに14歳の少女をいけにえにしようとしたが、怒った村人たちはこれを止めさせ、タリ受刑者を殺害したという。

 パプアニューギニアでは現在も黒魔術や魔法、食人にまつわる事件がしばしば起きる。昨年には、少なくとも7人を殺害して脳みそを生で食し、男性器のスープを作った容疑で、食人を慣習とするカルト集団の数十人が逮捕されている。(c)AFP