【9月2日 AFP】イタリア・ベネチア(Venice)のドゥカーレ宮殿(Doge's Palace)で1日まで開かれていた美術展で、絵画の貸し出し元の仏美術館の求めに応じて空調システムを設置したため宮殿に損傷が生じたと、地元議員が訴えている。

 この美術展では、印象派の巨匠エドゥアール・マネ(Edouard Manet)の絵画「オランピア(Olympia)」が1890年以来初めて、仏パリ(Paris)のオルセー美術館(Musee d'Orsay)の外部に出たことで話題を呼んだ。

 だが伊ANSA通信によると、フランコ・ロケッタ(Franco Rocchetta)元副外相は、空調システムを設置する際、歴史的建造物である宮殿の壁に最大で直径7センチもの穴が30~35個も開けられたとして正式に警察に苦情申し立てを行った。

 またロケッタ氏は、ベネチアを治めてきた市の有力者らによって何世紀もの間、使われてきた大広間の床がへこんだとも主張。さらに、床の損傷は書店のテーブルで隠されていたという。

 これに対し、ベネチアの文化財を管轄するRenata Codello氏は美術展の主催者は継続して会場を監視しており、何ら「異常」は認められていないと反論している。

 事態を受け、同市の2議員が、より詳細な情報を市長に求める申請を行った。議員の1人は、ドゥカーレ宮殿は未来の世代に引き継ぐべき貴重な財産であり、美術展の重要性は問題ではないと語った。

 ドゥカーレ宮殿で開催された美術展では、ルネサンス期のイタリア人画家ティツィアーノ(Titian)の絵画「ウルビーノのビーナス(Venus of Urbino)」と、これに着想を得たマネの「オランピア」とが、史上初めて並べて展示された。(c)AFP