【8月31日 AFP】イタリアの有名ワイン醸造家が、同国初の黒人の大臣に対する人種差別的な批判を交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)に投稿したことで、激しい非難にさらされている。

 受賞歴もあるワイン醸造家のフルビオ・ブレサン(Fulvio Bressan)氏は投稿の中で、コンゴ民主共和国(旧ザイール)生まれでイタリアの市民権を得ているセシル・キエンゲ(Cecile Kyenge)移民融和担当相を「汚い黒い猿」といった人種差別的な言葉で呼んだ。同氏はその後、この発言をしたのは、税金を使って不法移民を宿泊施設に滞在させる政府の計画に怒っていたからだと弁明した。

 北東部フリウリ・ベネチア・ジュリア(Friuli Venezia Giulia)自治州でオーガニックワインを造る同氏は、家族経営の醸造所での伝統的な製法で高い評価を得ている。

 しかし、高名な業界誌「ワイン・アドボケート(Wine Advocate)」などに寄稿するイタリア人批評家がこの発言に抗議して「同氏のワインのテイスティングは拒否する」と表明。ソーシャルメディアでは、同氏の造るワインの不買運動が呼び掛けられた。また、食品に関する国際非営利組織(NPO)「スローフード(Slow Food)」も30日、同組織が作成するガイドブック「スローワイン(Slow Wine)」から同氏のワインを除外すると発表した。

 イタリア国内ではこのところ、キエンゲ大臣をオランウータンと比較した上院のロベルト・カルデロリ(Roberto Calderoli)副議長など、移民支援策に反対する人々からの大臣に対する侮辱的な発言が相次いでいる。(c)AFP