【8月30日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は29日、火星の2つの衛星のうち大きな方のフォボス(Phobos)が太陽の前を通過する様子を、火星無人探査車キュリオシティー(Curiosity)によって3秒間隔で撮影して合成した写真を公開した。

 この金環日食は、キュリオシティーが火星で活動を開始してから火星時間で369日目となる今月17日、キュリオシティーに搭載された1対のマストカメラ(Mast CameraMastCam)の望遠レンズで撮影された。撮影担当チームはこの天体ショーを撮影するため、慎重に計測を重ねて準備。キュリオシティーはこの日、一時的に走行を停止して観測に臨んだ。

 キュリオシティーによるフォボスの観測のおかげで、フォボスの軌道について研究者たちはより正確な知識を得ることが可能になった。今回の日食は火星上でのキュリオシティーの位置では正午近くに起きたため、ほぼ真上で観測されることになり、フォボスとキュリオシティーとの距離が短くなった。このタイミングのおかげで太陽を背景にしたフォボスのシルエットはより大きくなり、火星上で起こりうる皆既日食に最も近い状態の金環日食を観測することが可能となった。(c)AFP