【8月29日 AFP】何者かに両目の眼球をくりぬかれた中国の6歳男児は、自分の目が見えなくなったことを理解しておらず、家族に「なんでまだ太陽が昇っていないのか」と尋ねている──。中国国営メディアが28日、報じた。

 事件は中国北部・山西(Shanxi)省で発生。中国での報道によると、屋外で遊んでいた男児は行方不明になり、その後、血まみれの状態で発見された。AFPの取材に匿名で応じた同省汾西(Fenxi)県の警察官によると、何者かによってくりぬかれた両目の眼球は、男児の近くで見つかった。

 国営紙・北京青年報(Beijing Youth Daily)が男児のおじの話として伝えたところによると、眼科病院で治療を受けている男児は、自分が生涯にわたって視力を失ったことをまだ認識していないという。「おいは、なぜ空がずっと暗いままなのか、なぜまだ太陽が昇らないのか、といったことを聞いている。私たちは、目にけがをしたので包帯を巻いておかなければいけない、包帯が取れたら良くなる、としか言えなかった。答えるのが本当に難しい質問だ。心が張り裂けそうな思いだ」

■移植用角膜を狙った犯行ではなかった

 中国メディアは当初、見つかった眼球から角膜がなくなっていたと報じたことから、臓器取引を目的とした犯行ではないかとの臆測を呼んでいた。

 だが警察は28日、眼球は角膜がついた状態で見つかったと発表し、臓器売買が動機という見方を否定。ただ、「現在も捜査が継続中であり、動機についてはいかなるコメントも推測もできない」と、汾西県の警察官は述べた。

 警察は唯一の容疑者である女の逮捕につながる情報に10万元(約160万円)の懸賞金をかけた。女は犯行の直前、男児に薬物を盛ったと報じられている。中国メディアによると、28日午後の時点で容疑者は捕まっていない。

 メディアが伝えたおじの話では、医師らは男児の傷口の炎症がおさまった後に義眼を取り付け、将来人々が男児の外見におびえることのないようにする予定だという。(c)AFP/Neil CONNOR