【8月29日 AFP】米テキサス(Texas)州にあるフォートフッド(Fort Hood)陸軍基地で2009年に銃乱射事件を起こして13人を殺害し、殺人罪に問われたニダル・マリク・ハサン(Nidal Malik Hasan)陸軍少佐(42)に対し米軍事法廷は28日、死刑を言い渡した。ハサン被告は23日、13件の謀殺(計画的な殺人)の罪で有罪判決を受けていた。

 軍精神科医だったハサン被告は2009年11月5日、戦闘地域に派遣される兵士らが滞在するフォートフッド基地の医療施設で銃を乱射し、兵士12人を含む13人を殺害、30人以上を負傷させた。ハサン被告自身も、応戦した文民警察官の銃撃を受け負傷し、体の一部がまひする後遺症が残っている。

 ハサン被告は米国生まれのパレスチナ系イスラム教徒で、軍事法廷によればイラクとアフガニスタンへの米軍派遣に反対していた。また、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)所属とされる米国人イスラム教指導者アンワル・アウラキ(Anwar al-Awlaki)師とインターネット上で連絡を取っていたことがあり、アルカイダに触発されて事件を起こしたとみられている。アウラキ師はその後、イエメンで米無人機攻撃によって殺害されている。

 4時間にわたった協議の後、陪審団長を務めた陸軍大佐は、ハサン被告に極刑を与えるべきとの結論に陪審員役を務めた将校らが全員一致で達したと述べた。ハサン被告は軍事法廷で弁護人を付けずに、証人も呼ばず、起訴内容を否定しようとしなかった。

 米陸軍関係者が死刑を言い渡されるのは、2003年にクウェートで米兵2人を殺害し05年に死刑判決を受けたハサン・アクバル(Hasan Akbar)死刑囚以来。ただ、米軍の規定では、軍事法廷での死刑判決は被告の意思に関係なく自動的に上訴の手続きが取られるため、確定までには数年かかる可能性がある。また、死刑執行には大統領の承認が必要だ。こうしたことから、米軍関係者の死刑判決はしばしば覆されており、1961年以来、米兵の死刑が執行された事例はない。(c)AFP/Phil Jankowski