【8月26日 AFP】人間による化石燃料の燃焼で排出される二酸化炭素(CO2)によって海の酸性化が進み、地球を太陽放射から保護するのを助けるガスが海から放出される量が減少することで、地球温暖化を促進させる恐れがあるとの研究論文が25日、発表された。

 今回の論文で明らかにされた影響は非常に広範囲に及ぶ可能性があるが、現在の気候変動の予測には要因として考慮されていない、と論文の著者らは警告している。

 科学者らによると、人間によって排出されるCO2は、太陽熱は大気を通過させ、地球から反射された熱エネルギーを閉じ込めることで温室効果を生み出し、地球温暖化の一因となっているという。

■硫化ジメチルの放出量減少で0.48度の気温上昇

 さらにCO2は、世界の海のpH値を低下させ、酸性度を高めて、プランクトンによる硫黄化合物の「硫化ジメチル(DMS)」の生産を阻害する、と論文は指摘している。

 大気中に放出されるDMSは、地球に注がれる太陽放射を反射して、地球の表面温度を下げる助けになる。

 研究チームは気候シミュレーションを使って、DMSの放出量が2100年までに18%減少することが原因で、地球温度が最大0.48度上昇する可能性があると試算した。

「われわれの知る限り、海洋酸性化が原因で地球の硫黄循環に生じる変化に起因する気候への潜在的影響を明らかにしたのは、われわれが世界で初めて」と著者らは記している。「この海洋酸性化による気候への潜在的影響のメカニズムを、将来の気候変動の予測で考慮に入れるべきということを、われわれの研究結果は強調している」

 また海洋酸性化は、DMSの放出量をさらに低下させる原因となるかもしれない他の未解明の影響を海洋生態系に及ぼしているかもしれないと研究チームは警告している。(c)AFP