【8月23日 AFP】シリアの首都ダマスカス(Damascus)近郊で22日未明、政府軍の化学兵器で死亡したとされる大勢の市民の遺体が、政府軍の目を避けて暗闇の中、埋葬された。AFPの取材に応じた活動家は、遺体は「青ざめていて皆、窒息死していた」と語った。

 反体制派が制圧しているダマスカス南西の街Moadamiyet al-Shamから電話取材に応じた活動家のアブ・アフマド(Abu Ahmad)氏によると、政府軍は21日の午前5時ごろ(日本時間同午前11時ごろ)「化学弾頭を搭載したロケット弾を使い」、この街を攻撃したという。

 ダマスカス周辺の複数の都市にいる活動家たちは同日、政府軍が化学兵器を使用した可能性を指摘した。しかしシリア政府は、国連(UN)の査察団が国内にいる間に化学兵器を使用することは「政治上の自殺行為」だと述べ、疑惑を否定している。

 英国に拠点を置く反体制派NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は、この攻撃で約170人が死亡したとしている。一方、反体制派の統一組織「シリア国民連合(Syrian National Coalition)」は、1300人が死亡したと主張している。

 ダマスカス東部の活動家らも、21日に政府軍から同様の攻撃を受けたと報告している。活動家のアブ・アデル(Abu Adel)氏はAFPに対し、この日は1日中、ダマスカス郊外のアイン・テルマ(Ain Terma)で、政府軍による殺りくの様子を地元活動家らが撮影するのを支援していたと語った。早朝の攻撃の後、「屋外にいた人たちが吐き気を催し、倒れ始めた」という。

「多くの人が家の中で寝ていた時間だった。そのため、犠牲者に子どもが多い」とアデル氏は述べた。自身も「数時間後に化学兵器の影響を感じ始めた。目が痛み、呼吸が困難になった。ものすごくひどい頭痛もした」という。

 活動家らは動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)に、市民が撮影した化学兵器の影響とされる動画を多数投稿している。地面に倒れた遺体や、多数の子どもの遺体の映像もある。これらの動画の信ぴょう性は確認されていないが、ダマスカス東部のザマルカ(Zamalka)、イルビン(Irbin)、サクバ(Saqba)、ハラスタ(Harasta)、アイン・テルマ、さらに首都南西のMoadamiyet al-Shamで、化学兵器が使用されたとみられる現場が映されている。

 アデル氏によると、東グータ(Eastern Ghouta)地区では「29発のロケット弾が10分以内に全て着弾した。大半はアイン・テルマに落ちた」という。同氏は「仮設の病院で負傷者の治療に当たった医師らの多くにも、症状が現れ始めている。また、昨日運び込まれてきた人々が、今日死亡している」とも述べた。(c)AFP/Serene ASSIR