【8月22日 AFP】女子テニスの李娜(Na Li、ナ・リー、中国)は、2つ目の四大大会(グランドスラム)タイトルを見据えて、26日に開幕する全米オープン(The US Open Tennis Championships)に出場する。しかし、最近中国では同選手の激しい気性を問題視する声が上がっている。

 李は2011年の全仏オープン(French Open 2011)で、祖国のテニスファン1億1600万人が注目する中、アジア勢として初めてグランドスラム優勝を果たし、中国スポーツ界のスターの座にのし上がった。

 しかし李は最近、2度も公で怒りを爆発させる騒動を起こしており、その短気な性格が非難の的となっている。

 今年の全仏オープン(French Open 2013)で2回戦敗退を喫した直後、李は中国の国営新華社(Xinhua)通信の記者からファンへのメッセージを求められ、こう噛みついた。

   「私は試合に負けた。そういうこと。地面に跪いて叩頭すればいいというの?謝罪すればいいの?」

 翌月のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2013)で準々決勝で敗れた時も同じ記者に同じことを求められ、激昂した李は「よくもそんなことが聞けるわね!この記者、なんて恥知らずなの?」と放った。

 厳格なアスリート育成が行われる中国では、スポーツ選手は感情を露わにしないことが常であり、李のこの怒りのリアクションは中国のマスコミやソーシャルメディアで大きく批判された。

 李は中国人としては珍しい個人主義者として知られており、赤いバラのタトゥーを胸元に入れるなど、同国の常識から逸脱した行動を取ることもある。

 2008年以降は国の管理体制から抜け出してトレーニングを行っているため、自由にコーチを選び、賞金のほとんどを自分の取り分とすることができる。

 今年頭に自身がカバーを飾った米タイム(Time)誌の記事で李は、元選手のクリス・エバート(Chris Evert)氏から「型破り」と呼ばれた。

 そんな傍若無人な李への祖国からの風当たりは強いが、メディアは李の性格を尊重すべきだと意見する記者もいる。

 中国の大手ポータルサイト「新浪(Sina)」のテニス担当者は、「李もメディアも一歩ずつ引いて、状況をよく見るべきだ。李娜は中国にとって唯一、大会で優勝することができる選手なのだ」と話す。

   「われわれはもうちょっと気軽に構えて、彼女にストレスを与えないように、あまりプレッシャーをかけたり、批判したりしないようにしなければいけない」

(c)AFP/Neil CONNOR