【8月22日 AFP】26階建てマンションの屋上に違法に建てられた「岩屋敷」が話題になったばかりの中国で、今度は21階建てマンションの屋上に建造された「天空寺院」が脚光を浴びている。

 緑に囲まれた寺院は、反り返った屋根に金色の瓦と竜や鳳凰の彫刻で装飾が施された伝統的な寺院建築だが、建っている場所が斬新で、香港に隣接する深セン(Shenzhen)市の高層マンションの屋上にあると夕刊紙・羊城晩報(Yangcheng Evening News)は報じている。寺院のある屋上への出入りは指紋認証システムと防犯カメラで厳重に管理されており、一般の人の立ち入りはできない状態。屋上につながる鍵のかかった扉の向こう側からは、犬のほえる声も聞こえるという。

 同紙が近隣住民の話として伝えたところでは、寺院は個人の所有で、建てられて数年になり、「お供え物を燃やした灰がよく降ってくる」という。

 地元の不動産業者によれば、マンション最上階の部屋は1500万元(約2億4000万円)ほどの価値があり、マンションの住民は皆、高官か超富裕層。「寺院の所有者は、何らかの良好な関係を持っているに違いない」という。一方、当局は所有者の身元を確認できておらず、マンションに派遣された調査員も所有者とみられる人物と話すことはできなかったという。

 地元当局者は同紙に、「このような屋上建築が認可されたものだとは考えにくい。ほぼ間違いなく違法だ」と話している。

 中国ではこの数週間、違法建築が国民の注目を集めている。北京(Beijing)では、26階建てマンションの屋上に模造岩や模造石を使って建てられた「岩屋敷」に近隣住民から苦情が相次ぎ、メディアが所有者の事業活動などを批判的に報じた。公共の安全を無視した富裕層のやり放題に怒りの声が広がり、当局の命令で解体が始まっている。(c)AFP